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新しい中小企業支援策f-Bizモデルの実現に向けて

 先月のJIAMでの中小企業支援をテーマとした研修に参加し、「富士産業支援センターf-Biz」を知った。これは簡潔に云えば、公によるビジネスコンサルティング業である。

 具体的には、年収1200万円で一流の最前線で活躍するビジネススキルを有した人材をセンター長として雇用し、市内中小企業等のコンサルを託すものである。雇用契約は一年ごと、実績を出せば更新できる。

 これまでの公的な中小企業支援制度と異なるのは売上にコミットすることである。経営者の相談にのり、新商品開発、販路開拓、起業支援、他企業とのマッチング等を行って、その売上向上に貢献する。相談は無料で、1回1時間、日程さえとれれば何回でも相談可能である。

 一例として、岡崎市のOka-Bizでは、相談1カ月待ち、相談者のうちリピーターが87%という行列のできる中小企業相談所として高く評価されている。

(富士産業支援センターHP http://f-biz.jp/)

 

 これを是非とも摂津市にも導入したいと考える。なぜなら、摂津市は中小企業の街で、このビジネスコンサルを必要とする中小企業は特に多いからである。

 私の知り合いの大手企業の下請けですら、下請けのみでは将来的に不安だからと、その技術を活用した第二創業を行っているが、マーケティングがうまくいかず売上につながっていない。もし適切なコンサルを受けることができるなら、もっと成功するはずである。このような事例は多々ある。そもそも課題が無い中小企業は無い。

 そしてこれを解決する制度を本市は有していない。確かに中小企業の経営相談の制度もあるが、誰がコンサルするかという顔は見えず、相談回数は年3回までで、利用者はごくわずかである。中小企業経営者は働く時間=給料であり、成功するか不明な信頼性のおけないところには貴重な時間を割いてまで行かないものである。何度でも相談したいと頼りにされるOka-Bizとの差は一目瞭然である。

 

 今、中小企業は海外との熾烈な競争、国内の人口減少問題、ビジネスモデルの短期化という厳しい経営環境下におかれ、これまで安定していた大手企業の下請け企業ですら、大手が海外に委託先を変えるなど、その生き残りは困難である。

 中小企業が生き残るためには、他社との差異化・コスト競争力を持ち競争優位を獲得しなければならない。そのために置かれた状況を分析してイノベーション、第二創業を行ったり、新市場を開拓するなど中小企業経営者には、高いビジネススキルが求められるのである。それには経験だけでなく知識や人脈も必要である。ただ、金銭、時間、意欲など様々な事情で必ずしも高いスキルを得ることができるものではない。かといって、民間のコンサルタントを雇うのは何百万、何千万という経費が必要であり、困難である。金融機関の指導を仰ごうとしても、適切な人材は必ずしも揃っているわけではなく、当然ながら取引関係者や当局の思惑内でのサポートとなり、全員が受けられるものではない。

 では、このまま放置していて良いのだろうか。一度、潰れれば、地域を支える雇用と納税は無くなり地域力が低下する。また近年話題の企業の事業継承の問題だが、これが進んでいない背景には、儲かっていないという事が挙げられる。儲かっていれば、後継者も見つけやすくなる。地域の活性化には中小企業は欠かせず、誰かがサポートしなければならないのである。

 

 もはや公での中小企業へのビジネススキルの提供、ビジネスコンサルティングは時代ニーズなのである。右肩上がりの経済下でつくられた補助金主体の中小企業支援制度ではなく、競争に打ち勝つためのビジネススキルを提供する制度を時代は求めている。これに現在のところ合致しているのがf-Bizなのである。2008年に設立されたf-Bizは、Bizモデルと評され現在は全国の25自治体に導入され、大阪府内でも2017年に大東市、2020年に岸和田市が採用している。本市は中小企業の街であり、そのニーズは他市と比べても大きく、導入しない理由は無い。特に中小企業の立地が多い鳥飼地域の活性化にもつながる。

 

 ということで、中小企業のまち摂津の活性化のために、Settsu-Bizの実現に向けて取り組んで参ります。そして、やるなら今。企業が元気なうちに、10年後は手遅れです。

ダウンロード
摂津市へのF-Bizモデルの導入20190807.pdf
PDFファイル 493.3 KB

 

 

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