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摂津市の隠蔽問題・第三者委員会報告書を受けての対応について

Ⅰ 経緯

 平成30年4月におきた1,500万円の還付金誤還付問題を皮切りに、平成29年9月以降の庁内における親睦会費の盗難、また令和元年12月以降でのマイナンバーカードの不適切処理など、事務執行の不適切対応が立て続けに発生しました。

 リンク「ニュース等

 

 これら連続して起きた問題において、単なる事務の不適切処理だけに留まらず、議会への報告時期が事案発生から相当に遅れたこと、また議会への報告内容が、事実と反するのではないか等、更には一部議員から行政による隠蔽ではないかという声も上がりました。

 

 そして、幾度となく議会(本会議・常任委員会)において、それらの問題が取り上げられました。

 

 そのため、市長は事務執行適正化第三者委員会を開き、弁護士等から成る第三者委員会でこれら諸問題について、客観的に検証することを決めました。

 

 そして令和2年第2回定例会(6月)において、行政は第三者委員会の設立のための「議案第56号 摂津市附属機関に関する条例の一部を改正する条例制定の件」議案を提出、議会で可決しました。

 合わせて、同議会において「議案第71号、特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例制定の件」議案が提出され、可決されました。これは、一連の事務執行上等の不祥事等に関し、行政機関の長として、その責任等を明確にするため、市長の給料月額をさらに10%減額するとともに、副市長についても同様に10%の減額を行われたものです。(隠蔽問題はこの時点では触れられていません。)また関係職員についてもそれぞれ処分が行われました。

 

 

Ⅱ 事務執行適正化第三者委員会の市長答申について

 事務執行適正化第三者委員会は、令和2年9月16日に第1回委員会が開催され、令和3年2月15日の第6回委員会と、計6回の委員会が開催され、そして令和3年3月30日に、最終の報告書である市長答申を提出されました。

 その内容は、「隠蔽の意図が認められる。」(p19)や、「摂津市役所の隠蔽体質ともいえる」(p20)など「隠蔽体質」という記述が散見され、単純な事務執行上の問題だけではないことが明らかにされました。

 

 残念ながら、行政の隠蔽体質などを指摘する厳しいものでした。

 

 リンク「事務執行適正化第三者委員会 市長答申

 

 

Ⅲ 議会対応について

 事務執行適正化第三者委員会の市長答申を受けて、議会(総務建設委員長等)は市長に、報告書に関しての行政側の見解を求めました。これまでの行政は、議会(本会議や常任委員会)への説明において、隠蔽という事は否定していました。

 しかしながら、第三者委員会報告書で、その行為が隠蔽と指摘されたことなど、結果として議会への説明と異なった事に関して、私を含む各議員は、大なり小なりその矛盾を感じざるをえないものでした。

 

 当然ながら、議会として見過ごすことはできません。行政と議会の信頼関係を崩しかねない問題でした。

 

 そのため、自民党・市民の会は令和3年5月10日に、市長に「摂津市事務執行適正化第三者委員会調査報告書を受けての要望書」を提出しました。その内容は、「前文」と隠ぺい問題に関する「監督責任等の処置・対応」、「今後への再発防止策の作成及び実行の徹底」、「議会への説明(常任委員会等での協議含む。)」を市長に求めたものでした。

 

 なお令和3年5月14日に臨時議会が開催された際に、一部議員から隠蔽問題に関しての百条委員会設置の条例案が提出されました。この案に関しては、報告書の内容が隠蔽問題に関しても詳細に書かれていること、またその報告書の対応を先ずは優先すべきものであり、私を含む反対多数で否決されました。

 

 そして、令和3年5月24日の議会(総務建設委員会協議会)で、第三者委員会報告書の内容について、行政側は一定の見解を示しました。ただ、残念ながら隠蔽問題については言及されることはありませんでした。それでは、議会としても市民へ適切に説明できるものではなく、うやむやに済ます事は許されませんでした。

 そのため、その場において、多くの協議会出席議員が、隠蔽問題について説明並びにその監督責任を明らかにするよう意見を出し、当然ながら、私も会派として説明責任並びに監督責任を求める要望書を提出しており、その対応を市長に強く求めました。リンク「摂津市議会 委員会開催状況

 

 そして行政は2021年第2回定例会において、その責任等を示すこととなりました。

 

 

Ⅳ 最終処分について

 2021年第2回定例会において、行政側は、「議案 第49号特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例制定の件」を提出しました。この議案は、市長及び副市長の給料月額の20%減額・3カ月を行うための条例制定でした。

 

 即ち、隠蔽問題に関して市長、副市長方々が監督責任を明らかにされたということでした。

 

 なお細かい質疑については、6月24日・25日の本会議の一般質問で他議員が市長・副市長とやりとりを行っています。やや紛糾したやりとりとなりましたが、市長は一定の説明を行い責任を認められました。

 私も6月25日の議案採決前に、市長に確認の意味もあり、質問を行いました。

 

 

Ⅴ 再発防止策について

 そして一連の問題で最も大切なのは、市民のために、そして行政職員のためにも、行政の隠蔽体質を改善し、再発防止策を講じ、誤りを繰り返さないことです。 

 そのため、2021年第2回定例会で、第三者委員会の報告書における提言内容を踏まえ、本市の指摘された隠蔽問題を改善し、信頼を取り戻すための施策についての一般質問を行いました。内容は以下の議事録の通りです。

 

 しっかりと議会としてのチェック機能を果たし、より良い摂津のまちづくりに取り組んで参ります。

 

 


 

令和3年第2回定例会一般質問 ~本会議2日目 令和3年6月24日~

議事録(抜粋)

 

 

題名 第三者委員会の提言を踏まえた市としての対応について 

 

 

○松本議員

 おはようございます。それでは順位に基づき質問させて頂きます。

 1 第三者委員会の提言を踏まえた対応についてですが、会派として、隠蔽問題に関する監督責任を明らかにすること、今後の再発防止策の作成並びに徹底、そして議会への説明の3点を要望させて頂いております。

 まず隠蔽問題に関する監督責任については、議案も提出され、一定説明されるものと認識します。

 よって次に、再発防止への取組みが焦点になるものと考えますが、どのように進められているのかお聞かせ下さい。

 

(略※)

 

○森西議長

 市長公室長

 

○大橋市長公室長

 第三者委員会からの提言を踏まえ、「再発防止の取り組み」についてのご質問にお答えいたします。

 事務執行適正化第三者委員会からの提言を踏まえ、本市が取り組むべき課題として、まずは「コンプライアンス」の徹底が必要であると考えており、本年8月を目途にコンプライアンスに関する基本的な方針を定めるとともに、関連する制度や指針も明確化し、職員の意識向上等に取り組みたいと考えております。

 なお、基本方針は案の段階で議会にお示しして参りたいと考えております。

 この基本的な方針を策定後、新たな人材育成の計画として、「(仮称)職員育成・行動基本計画」を策定して参ります。目指すべき職員像や法令遵守の観点はもとより、職員がそれぞれの職務や役割をついしっかりと認識して業務遂行にあたることができるよう、行動の部分まで示した計画にしたいと考えております。

 

(略※)

 

○松本議員

 これよりは一問一答形式でお願い致します。

 まず、第三者委員会の対応についてですが、再発防止の取組みの基本方針、そして計画に落とし込むことについては理解しましたが、すぐにでも取り組むべきものもあると思います。

 その点、具体的な対応として早期に取り組めるものはあるのか、お聞かせください。

 

○森西議長

 市長公室長

 

○大橋市長公室長

 早期に取り組めるものとして、「事務処理ミス等の公表」と「公益通報制度の充実」を考えています。事務処理ミス等の公表基準は、コンプライアンス強化の一環としての位置づけを行うほか、組織としてミス等の情報を共有することによって、再発防止や未然防止につなげることで、市政に対する市民の信頼を高めて参りたいと考えております。

 また、公益通報制度については、新たに弁護士が対応する通報窓口を設け、広報やホームページ上でも制度情報を掲載するなど、通報につながる取り組みを進めて参りたいと考えています。

 

○森西議長

 松本議員。

 

○松本議員

 是非、早期に取り組めるものはできる限り早期に実施されるよう要望致します。

 私は、まさに今、本市ガバナンス立て直しの最大の機会であると考えます。改めて、担当である福渡副市長に総括的にお考えをお聞かせ下さい。

 

○森西議長

 副市長。

 

○福渡副市長

 本年4月に着任させていただいて以後、議員の皆様を含め様々なご意見等を頂戴し、課題が山積する状況であると認識いたしております。

 これまでの間、できることはできるだけ早くスピード感を持って対処していくこと、それから新たな課題が発生した際にはすぐに見直しを行うことなど、自分のこれまでの経験も踏まえて、指導や指示等を行ってまいりました。

 市役所自体は、職員のためではなく市民全員のためにあり、市民との信頼関係なくしては存在意義が無い、その基本な認識に立ち返ってですね、職員一人一人が意識・行動を変えて、そのことが今まさに求められているのではないかというふうに認識しております。

 今回の案件、第三者委員会の提言をしっかりと受け止めまして、指摘事項の改善に全力で取り組んでまいる所存でございます。

 

○森西議長

 松本議員。

 

○松本議員

 ありがとうございます。

 是非とも、これを機に指摘された隠蔽体質を改善し、職員が誇りを持って働け、かつ信頼ある組織とするよう要望致します。

 また大学教授等、自治体ガバナンスの有識者に意見を聞かれることも良いかと思います。この件は以上です。

 

 

 

(音声データ等より作成)

※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。