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太陽光発電の留意すべき点について


Ⅰ はじめに

 太陽光発電はCO2削減のために、再生可能エネルギーとして推進されています。しかし、決してメリットだけではなく、デメリットも存在します。

 

 特に、太陽光パネルに使われるシリコンの世界大手メーカー5社のうち4社が中国の新疆にあり、人件費の安いウイグル族収容施設で製造したシリコンを採用していると指摘され、人権侵害に関わるもので、平和都市を掲げる本市として看過できるものではありません。また、太陽光発電システム起因の火災事案も発生します。

 摂津市は大阪府の太陽光発電の共同購入に関するチラシを自治会等に配布していますが、それら課題を認識しているのでしょうか??

 

 改めて、それら課題を認識すべく議会にて質疑を行いました。

 

 


Ⅱ 議事録

令和4年第2回定例会一般質問 ~本会議3日目 令和4年6月27日~ 議事録(抜粋)

 

4 太陽光発電の留意すべき点について

 

 

 

○松本議員

 次に太陽光発電の留意すべき点についてですが、今年3月、大阪府と摂津市の連名の太陽光パネル等の共同購入に関するチラシが自治会を通じて配布されていますが、この事業への市の関わりについてお聞かせください。

(略※)

 

○生活環境部長

 太陽光パネル等の共同購入事業への市の関わりについてのご質問にお答えいたします。

 太陽光パネル及び蓄電池の共同購入支援事業は、大阪府が実施する事業でございます。その事業内容は、太陽光パネル及び蓄電池のさらなる普及拡大を図るため、大阪府と協定を締結した支援事業者が、府内全域から購入希望者を募り、そのスケールメリットを生かして、設置をサポートするものとなっております。

 当該事業への本市の関わりは、広報活動のみでございます。広報活動として、大阪府からのチラシの配架、配布についての協力依頼があり、その要請に応じて自治会等にチラシを配布させていただいております。

 また、チラシの配布に際して、大阪府より市独自のコメント等をチラシに掲載することも可能とのご提案をいただきました。

 本市としましても、令和4年2月にゼロカーボンシティの表明を行い、また、今年度から新たに摂津市地球温暖化対策地域計画を策定し、施策として住宅等への太陽光発電設備の導入促進を揚げていることから、本市の取り組みもPRできるものと考え、大阪府に本市の取り組みを記載したオリジナルチラシを作成頂き、大阪府市の連名で、自治会等配布させていただいております。

(略※)

 

○松本議員

 次に太陽光発電についてですが、市は大阪府事業に広報活動のみの参加と理解しました。

 太陽光発電はCO2削減の取組みなどで推進されていますが、メリットだけでなく、デメリットへの理解も求められます。

例えばメガソーラー発電所による森林破壊が全国各地で大きな問題となっています。

 また、2021年4月の米・アメリカのシンクタンクの国際戦略問題研究所の発表によると太陽光パネルに使われるシリコンの世界大手メーカー5社のうち4社が中国の新疆にあり、人件費の安いウイグル族収容施設で製造したシリコンを採用していると指摘されています。

 議会でも前会、ウイグル族虐待に関して「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」を採決しております。この事は、人権侵害に関わる問題であり、決して無視できないものです。

 そして実生活のデメリットでは、太陽光発電システム火災が挙げられます。その火災事例と消火活動の問題点等について、消防本部の見解をお聞かせください。

 

○南野議長

 消防長

 

○消防長

 本市における太陽光発電の火災事例及び消火活動の問題点についてのご質問にお答えいたします。

 本市におきましては、現在のところ、太陽光発電システムに起因する火災は、発生しておりません。

 しかしながら、全国的に見ますと独立行政法人製品評価技術基盤機構への事故報告では、平成10年から令和2年までの間、109件の事故報告があり、公表されている直近の3年では、平成30年に28件、令和元年に8件、令和2年に8件となっております。

 火災の原因の約70%は直流電力を交流電力に変換するインバーターであるパワーコンディショナーからということでございます。

 消防隊の火災による活動障害としましては、太陽光発電システムのパネル部分にあるPVモジュールが、高所である屋根に備え付けられていることが多いので、消火の困難性があるとともに、消防隊員の感電する危険性もございます。

 太陽光発電システムの、火災に対する活動方針といたしましては、隊員の安全管理を実施しつつ、特に感電への対策として泡消火薬剤による放水や、噴霧上での放水などを実施することとし、細心の注意を払い消火活動を実施して参ります。

 

○南野議長

 松本議員。

 

○松本議員

 太陽光発電システムに関わる火災が起きること、そして消火の困難性については理解しました。

 事例は多くありませんが、太陽光発電を設置することで新たな火災・延焼リスクを背負うということは認識すべきでしょう。

 太陽光発電はメリットだけではありません。行政として、チラシの件含め、太陽光発電の留意すべき点をしっかりと認識したうえで適切に行動するよう要望致します。

 

(音声データ等より作成)

重要と思われる部分には強調を入れています。

※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。

 

 


Ⅲ 参考資料

1.大阪府の太陽光発電の共同購入等について

 大阪府の太陽光パネル・蓄電池の共同購入事業

 中国の上海電力との関連や、新疆ウイグル自治区の強制労働で生産されたものを使用していないかは不明です。摂津市として行うならば、その担保は取るべきでしょう。

 

 

2.新疆ウイグル自治区での強制労働について

 強制労働と太陽光発電に関する資料は以下の通りです。

 

①CSISによれば、イスラム教徒の少数民族であるウイグル族を中国当局が強制収容し、収容施設で職業訓練と称して無償や低賃金の労働を強いている。この施設で、太陽光を電力に変える部材に使う多結晶シリコンを製造しているという。中国当局は、強制労働を否定している。※

※「中国製パネルに強制労働の疑い 新疆ウイグル問題が太陽光発電に落とす影」2021.07.05 馬場 未希(日経ESG編集長)

 

②世界における太陽光発電用の多結晶シリコンの80%は中国製であるという。そして、そのうち半分以上が新疆ウイグル自治区における生産であり、世界に占める新疆ウイグル自治区の生産量のシェアはじつに45%に達すると推計されている。※

※「太陽光発電も強制労働の産物なのか」アゴラ(2021年4月9日)に掲載

 

③ESG経営や国際的な人権政策の観点から、これを使いつづけることは、日本政府への批判を招き、それを使った再エネ電源を使ってRE100などの「環境によい事業」を進めようという日本企業に、人権問題という別なESG上の批判が向けられるリスクが出てくる。※

※「太陽光大量導入の不都合な真実」2021/07/20 手塚 宏之 国際環境経済研究所主席研究員、JFEスチール 専門主監(地球環境)

 

 

3.摂津市議会の意見書採決について

 摂津市議会では2022年第1回定例会において、ウイグル族虐待に関して「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」を採決しています。その内容は下記写真の通りです。

 本市は「平和都市」を掲げています。議会でも人権侵害は看過していません。よって、太陽光発電に関しても、本市の政策とするならば、ウイグル人への人権侵害を無視することはできません。

 「環境によい事業」を進めようとして「人権侵害」を許容することになってはなりません。

 リンク先「摂津市議会意見書

 

 

4.太陽光発電システムの火災について

 総務省消防庁「太陽光発電設備の火災事故事例

 独立行政法人製品評価技術基盤機構「住宅用太陽光発電設備の事故について

 

 太陽光発電設備に起因した火災は上記の通りです。

 

 また、消火活動の困難性については、上記議事録の消防長の答弁の通りです。

「太陽光発電システムのパネル部分にあるPVモジュールが、高所である屋根に備え付けられていることが多いので、消火の困難性があるとともに、消防隊員の感電する危険性もございます。(略)感電への対策として泡消火薬剤による放水や、噴霧上での放水などを実施(略)。」

 感電対策では、泡消火薬剤を保有していない消防車や地域の消防団では消火は困難。薬剤を積んだ消防車が来るまでは延焼を抑える活動になるでしょう。

 

 


Ⅳ 関連リンク