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出生数の減少、危機的状況への対応・子育て支援策強化について


Ⅰ はじめに

 

 今年の出生数は国の統計開始以来、初めて80万人を下回るペースで、想定より8年も早く少子化進む危機的な状況となっている。「超過死」とも合わせば、日本の人口減少顕著となり、国の政策が不十分であることが明らかとなっている。

 待ったなしの状況に地方自治体としても、少子化対策の取組み、特に子育て支援策の強化が必要であり、その視点で質疑を行った。

 

 

 


Ⅱ 出生数の大幅な減少

 

 財務省資料「社会保障」11月7日付けから、「出生数減少」資料を紹介します。

 記載内容の通りです。

 この国の出生数減少はこのコロナ禍の影響を受け、7年程度早く出生数が減少している状況です。

 

 

 


Ⅲ 子育て支援策強化の必要性

 

 財務省資料「社会保障」11月7日付けから、少子化対の内容等を紹介します。

 上図は国の少子化社会対策大綱(概要)です。

 少子化対策には複雑な様相が絡むため、これと断定できる解決策はありません。総合的な取り組みが求められます。

 

 上図はこどもの教育・保育と経済的支援です。

 子育てには当然ながらお金が必要です。それも出産から就職までの過程を踏まえなければなりません。高校授業料無償化も所得制限が設けられています。

 少子化対策を本気で行うなら、2人目、3人目出産し育児できる経済的環境構築することが求められます。それには低所得世帯だけでなく、中・高所得世帯へも経済的支援必要でしょう。社会保障費の増大や核家族化、高学歴化への教育費の増大など大きな課題を抱えているからです。

 

 

 上図は子育て世帯への支援の課題①です。

 

 そもそも結婚をしない男女が増えているのも少子化の要因の一つです。そこには日本の社会貧しくなっているという実態があります。

 1人当たりのGDPは先進国では日本だけが成長していないうえに、消費税、社会保障費など増税に次ぐ増税で、家庭の手取りは減り、そのうえ国は、派遣会社の増加・成長を容認し、正規雇用の場を少なくし、収入の低い非正規雇用を多く生み出し、子どもを養える経済力は減り、核家族化と共働き等で子どもの教育・居場所にも四苦八苦、二重三重で、日本の社会子育てしにくい少子化になる要因を積み重ねている現状があります。

 

 よって、行政が子育て支援政策で、その課題をカバーする必要があります。手を抜けば、少子化に拍車がかかるでしょう。

 

 

 


Ⅳ 議事録

 

 上記諸々を踏まえ、議会にて本市の子育て支援に係る質疑を行いました。

 

令和4年第4回定例会一般質問

 ~本会議3日目・令和4年12月20日~ 議事録(抜粋)

 

3 加速する少子化に対する子育て支援策強化の必要性について

 

 

○松本議員

 3 加速する少子化に対する子育て支援策強化の必要性について、今年の出生数は国の統計開始以来、初めて80万人を下回るペースで、想定より8年も早く少子化が進む危機的な状況となっています。超過死とも合わせば、日本の人口減少顕著となり、国の政策が不十分であることが明らかとなっています。

 待ったなしの状況に地方自治体としても、少子化対策の取組み、特に子育て支援策の強化が必要ですが、どうお考えかお聞かせ下さい。

(略※)

 

○福住議長

 次世代育成部長

 

○次世代育成部長

 子育て支援策強化の必要性についてのご質問にお答えいたします。

 令和2年度に策定されました「摂津市行政経営戦略」のおいては、「暮らしにやさしく笑顔あふれるまち」と言うまちづくりの目標を定め、「妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援体制を充実させるとともに、すべての子どもがのびのびと健やかに成長できるよう、地域全体で子育てを支援する環境づくりに取り組みます。」という施策の方向性を示しており、ここ数年、「こども」を予算編成の重点テーマに掲げております。

 また、国においては、令和5年度からの「こども家庭庁」の創設や、今般の児童福祉法等の改正による「子ども家庭センター」の設置などにより、少子化対策など、以前からの課題のほか、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへの包括的な相談支援の強化といった今まで比較的手薄だった分野にも力を入れていくなど、こども政策をより推進いく方針が示されております。

こうした国の動向からも子育て支援策の更なる充実が必要であると考えております。

(略※)

 

○松本議員

 次に子育て支援策強化の必要性について、国の動向も踏まえ、子育て支援策強化の必要性を認識していると理解しました。

それを踏まえ、子育て施策を強化・推進していくにあたっての課題ついてどうお考えかお聞かせください。

 

○福住議長

 次世代育成部長

 

○次世代育成部長

 子育て施策推進の課題という質問にお答えいたします。子育てがしやすい環境、子どもを産み育てることが幸せだと実感できるまちを実現するためには、結婚妊娠出産子育て教育就労等の各段階等に応じた切れ目のない支援必要であり、そのため国は、「子ども家庭庁」を司令塔として、本格的に、こどもの支援策を推し進めようとしております。

 本市では、すでに教育委員会次世代育成部に子育てに関する施策の所管を集約しており、その強みを活かしていく必要があると考えております。

 一方で、平成31年度の子ども・子育て支援ニーズの調査の結果で、市役所に充実してほしい子育て支援サービスについては、経済的援助医療体制居場所などが高くなっていたことから、今後も様々な観点から、子育て支援策を推進していくためには、国や府の補助金を含めた財源の確保や地域の人材を始めとするマンパワー、NPO法人を始めとする団体との連携等が課題となって参ります。

 

○福住議長

 松本議員。

 

○松本議員

 予算や人手不足といった課題があるものと理解しました。

 国も遅いながらも力を入れ始めています。国との連携も重要です。

 そこで国による子育て支援策として実施される「出産・子育て応援交付金」の内容と進捗状況について、また来年度に向けての市の新たな子育て支援策が必要と思いますが、どうお考えかお聞かせ下さい。

 

○福住議長

 次世代育成部長

 

○次世代育成部長

 国の補正予算として成立いたしました、「出産・子育て応援交付金」事業についてですが、妊娠期の面談、そして出産後も面談・相談に応じながら必要な支援へとつなげる伴走型相談支援、この充実と、妊娠届出時と出産届出時に給付する合計10万円相当の経済的支援の一体実施とされております。

 これらは、原則、国が3分の2、都道府県と市町村がそれぞれ6分の1を負担するもので、11月22日に、国における第1回目説明会が実施され、12月26日に2回目の説明会が予定されているところです。

 来年度に向けた新たな子育て政策についてですが、この国による統一的な事業を単に実施するだけでなく、市としての独自性をこのタイミングで出すこと有効であると考えていますが、その内容や考え方については、今後、検討、調整して参りたいと考えています。

 

○福住議長

 松本議員。

 

○松本議員

 10万円相当の経済的支援、伴走型相談支援は期待されるとともに、市の独自性も是非とも出して頂くことを要望致します。

繰り返しになりますが、加速する少子化は、持続可能な社会への危機的課題であります。支援策強化が必要です。

 ただし、予算は限られています。そのため政策の優先順位を高め、予算配分も高める必要がありますが、政策全般を踏まえ、市の見解をお聞かせ下さい。

 

○福住議長

 市長公室長

 

○市長公室長

 子育て支援策等の予算配分を高める必要性についてのご質問にお答えいたします。

 令和3年の合計特殊出生率の全国平均が1.306年連続で前年を下回り、全国的に少子化がますます進行する中、「こども家庭庁」の創設は、こども政策等の新たな転換期になるものと考えております。

 本市におきましては、これまでも「こども」を重点テーマに掲げ取り組みを進めており、平成28年には人口減少対策として子育て支援や地域活性化の取り組みをまとめた「摂津市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、現在は、「摂津市行政経営戦略」のもと、子育て支援等の充実に努めてきたところでございます。

今後の本市の子育て支援策等に係る予算配分に関しましては、本市が直面する様々な課題に対して、バランスを考え配分していく必要もございますが、持続可能なまちづくりにおいては、子どもを産み育てていくための環境のさらなる充実は、欠かせないものであると考えております。

 

○福住議長

 松本議員。

 

○松本議員

 これまでもしっかりと取り組んできたことは理解しました。その上で、さらなる充実が欠かせないという認識と理解しました。

 是非、この危機的な状況において市長にも子育て支援策強化への予算配分を高めることの必要性についてお考えをお聞ききしたいと思います。

 

○福住議長

 市長

 

○森山市長

 既に色々と説明しておりますけども、今日の他の質問の中で、市長になった時、一番最初に小学校の統廃合に取り組んだ、非常につらいことでありましたけども、そういう経緯がございますが、その時に、同時に強調したのが、子どもの安全安心、子どもの安全対策の強化、これの声を大にしたことを覚えております。

 この事は、平成18年ですが、には「子どもの安全安心都市宣言」へとつながったわけでありまして、その後、ずっとそうだったと思いますけども、この宣言に基づきまして、毎年の予算を組む時には、子育て支援、これを重点項目の一つに取り上げてきたわけであります。

 先ほどから担当が説明いたしましたけれども、今、各地で人口減少、これに非常に頭を痛めているわけではありますが、お陰様で、現在のところ、市としては出生率が高いまちになっております。

 こうしたことも今後の努力なしには維持していくことはできません。そういう意味では今後も子育て支援や少子化対策に力を入れていかねばならないと思っております。

 ただ、一方で午前中に言ったかも分かりませんが、急激な高齢社会の色んな課題も山積みになっていることもしっかりと頭に入れておく必要があります。そういうことで福祉のまちづくり、と言いますけども、幅が広く、奥が深い、これでいいという到達点があるようで、ないんですね。

 そういう意味で、限られた財源、限られたマンパワーの中で、如何にこれ、目的を達していくか、色々ご指摘頂いたこともね、参考にさせて頂いて、子どもは勿論、弱者の視点ですね、しっかりと予算編成に臨んで参りたいと思います。以上です。

 

 

○福住議長

 松本議員。

 

○松本議員

 ありがとうございます。

 「こども」を重点テーマとして予算への反映を是非とも要望致します。

加えて「こども」というフィルターを全ての施策で改めてしっかりとかけることが必要です。例えば、JR千里丘駅西地区再開発では、そのコンセプトで子育て世代をターゲットにしています。健都や高齢施策といった様々な政策においても、工夫し、「こども」関連以外からも子育て支援を充実させることで、取組みは増進できるものと考えます。

よろしくお願い致します。

 

 

 

 

4 子どもの居場所づくりの強化について

 地方自治体としても、少子化対策の取組み、特に子育て支援策の強化が必要とされる中、保護者ニーズが高い経済的援助、医療体制、居場所の中で、本市での子どもの居場所について、現状と取組の必要性について質疑を行った。

 

○松本議員

 4 子どもの居場所づくりの強化について、本市での子どもの居場所に関して、市の取り組みについて現状と考え方についてお聞かせ下さい。

(略※)

 

○福住議長

 次世代育成部長

 

○次世代育成部長

 続きまして、子どもの居場所についての本市の現状と考え方についてのご質問にお答えいたします。

 子どもの居場所は、明確な定義はございませんが、子どもが安全で安心して過ごすことができるとともに、人とのつながりや生活・学習習慣づくりや様々な体験の機会を通じて子どもの自己肯定感や自己有用感を育んだり、貧困や孤独・孤立の解消、コミュニティの再生などの役割を担うことができるものと考えております。

 本市では、わくわく広場、児童センター、学童保育、子ども食堂、また、コミュニティーセンターや公民館等の公共施設も子どもの居場所となりうると考えており、子どもを支援するNPO法人や民間団体などでは、多世代が交流する場所など多様な居場所づくりにも取り組まれております。

 また、全国的にも、子どもの見守りの視点を中心とした居場所づくりや、NPO法人やボランティア団体などが学習を支援する「無料学習塾等の学習支援教室」、遊びの場を提供する「プレーパーク」など、子どもの居場所づくりの取り組みが広がっております。

 それらの取り組みを推進するため、子どもの居場所の設置・運営に対する支援に取り組まれている自治体も増加しており、本市においても、本年度から子ども食堂を運営されている団体への支援としまして、運営に関わる経費等の補助を行っているところでございます。

(略※)

 

○松本議員

 次に子どもの居場所づくりについて、市の子どもの居場所づくりの状況は理解しました。

 子育て支援策強化の一つとして、保護者からのニーズの高い居場所つくりは、重要な取組みであり、更に力を入れるべき政策です。

 それを踏まえ、子どもの居場所づくりの課題についてどうお考えかお聞かせ下さい。

 

○福住議長

次世代育成部長

 

○次世代育成部長

 子どもの居場所づくりには、場所とその運営に係る人材の確保が必要となります。

 子どもの居場所を長く継続的に運営していくためには、NPO法人や地域の団体等に担っていただくことが大事であると考えており、それらの関係団体の理解と協力が不可欠であります。

 しかしながら、子どもの居場所は、地域の方が善意で始めた活動であることも多いため、資金面、人材のネットワーク等に課題を抱えていることも多いことから、市として、経済的な支援とともに、子どもの居場所づくりに関わりたいという人材や地域団体が増えるよう、その育成支援に取り組む必要があると考えています。

 子どもたちの家庭環境等応じた様々な居場所があることで、子どもたちが心身の健康維持し、社会で生き抜く力を得る機会となるなど、その成長を下支えするとともに保護者の安心感等にもつながるものと考えております。

 

○福住議長

松本議員。

 

○松本議員

 NPO法人や地域の団体等への課題等は理解しました。

 公的な居場所では、就学前・保育施設の充実も求められます。先ほどの嶋野議員や三好としのり議員でもあったように、旧三宅スポーツセンター旧味舌小学校跡地の利活用を是非とも検討すること、そして学童保育の更なるサービス向上を要望致します。

 また、地域との連携・支援もしっかりと進められることも合わせて要望致します。

  

  

(音声データ等より作成)

重要と思われる部分には強調を入れています。

※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。

 


Ⅴ まとめ

 

 加速する少子化は、持続可能な社会への危機的課題です。

 

 行政としても子育て支援ニーズをしっかりと把握、それらニーズを充実させる必要があります。国も「子ども家庭庁」を設置し、子育て施策をさらに取り組むとのことで、地方自治体も国と連携していかなければなりません。

 

 ただ、少子化を進めるような社会構造的な課題が見られますが、国はその課題を解消するような感じは見られません。直接アプローチだけではなかなか少子化対策は効果を発揮できないでしょう。難しいと思うところです。

 

 

 


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