Ⅰ はじめに

令和5年3月28日、摂津市議会令和5年第1回定例会にて、「LGBTQ+性的少数者への差別を禁止する法律等の制定を求める意見書」が賛成多数で可決されました。
私が所属する自民党・市民の会は、同意見書については、女性の生存権を保障するために海外等の先進事例を踏まえ、拙速に法律を制定する前に対立が生じないよう対策を事前に議論し、講じることがまずもって求められると反対しました。
詳細は以下の通りです。
Ⅱ 意見書について
同意見書は本会議で可決に関して賛否が取られ、
賛成:日本共産党、公明党、大阪維新の会、民主市民連合
反対:自民党・市民の会、無所属
となり、賛成14、反対4で賛成多数で可決されました。
私の所属する「自民党・市民の会」は意見書に反対しました。
まずもって性の多様性は尊重されるべきですが、この意見書に記載される「性自認」に関することを法律で律することや、婚姻等にまだまだ問題・課題があると認識しています。その反対理由については、本会議の討論で説明を行いました。性自認に焦点を絞ってのもので、内容は以下の通りです。
Ⅲ 反対討論について

議会議案第2号として議会へ提出された「LGBTQ+性的少数者への差別を禁止する法律等の制定を求める意見書」について反対討論を行いました。その内容は以下の通りです。
〇福住議長
討論に入ります。通告があるのでこれを許可します。松本議員。
〇松本議員
それでは議会議案第2号に関して、自民党・市民の会を代表して、反対の立場から述べさせて頂きます。
まずもって性の多様性は尊重されるべき、ということは会派の考えであり、その理念は追求すべきものであります。
しかしながら、この取り組みに関してまだまだ解決すべき課題があるものと考えます。本議案の内容についても同様です。その一つとして「性自認」での差別禁止の法律について、身体は男性で心が女性の方を示すトランス女性に関してですが、課題が多く指摘されている中、その課題をまずもってクリアにする必要があると考えます。
2つの具体的事例を紹介させて頂きます。
3月3日に配信されたニッポン放送での「LGBT理解増進法」の何が「問題」なのか、という話の中で、カリフォルニアの韓国風スパで起きた事件の紹介がありました。
その内容を紹介しますと、カリフォルニア州では、韓国風スパの女性スペースにトランス女性の方が入って大問題になったことがありました。6歳の少女を連れていたお母さんがカウンターに文句を言いにいったのですが、「対応することはできません」と言われたそうです。
カリフォルニア州では、「すべての差別を禁止する」という州法をつくっており、それによって「彼女がその場にいることは合法である」と説明を受けたそうです。そして、お母さんの方が逆に差別主義者だとして世間から批判を受けてしまった。ところが1ヵ月後、そのトランス女性が警察に捕まりました。何度も性犯罪を繰り返していた人物だったのです。というもので、さまざまな課題があることは海外の事例で分かってきております。
また、日本では女性の富士見市議会議員の埼玉県LGBT条例基本計画パブリックコメントについて、SNSで公開されていることについて、前半部分を抜粋してご紹介します。
『私は今まで性の多様性の尊重はあらゆる人の人権を尊重することにもつながる、誰の人権も侵害しない、あらゆる命が尊重されることだと思って政策として取り組んで参りました。
おかしい、そうではない、と思ったきっかけは昨年「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」において自民党県議団がパプコメを募集していた際に、安全を求める女性の声が差別として扱われていたのを目の当たりにした時です。
そこで、支援に関わる方に「心は女性・体は男性」が同じトイレに入ってくることは私も怖いと感じるとお伝えしたところ、それはあなたの男性恐怖でカウンセリングが必要だ、と言われました。
また、他の方にもあなたはトランスの苦しみを知らないだけだ、と言われ、私は理解や一緒に立つことに努めようとしてきました。
しかし、どれだけ当事者の苦しみを知ったとしても、だからといって女性の恐怖を軽視して良いわけではないとそう思いました。
「トランスジェンダー」の人権を軽視しているわけではありません。内心の自由は、内面において絶対的に自由であり、いついかなる時も保障されるべきです。しかしトランスジェンダーの方がご主張される人権が、外部的行為となって現れた時、そこで女性の人権との間に衝突が起きうると考えます。
特に男性身体を持つ方の女性の性自認に関する要求については明確に女性の生存権との衝突が起きうると考えます。』
まだ続く訳ですけども。
本市でも人権女性政策課への女性相談などで、痴漢、DV等々で男性への恐怖を訴えられている女性もおられます。拙速に差別を禁止する法律を作ると、その後において女性の生存権・安全安心を訴える声すらも差別として封じられかねないことは先進国の事例や富士見市議会議員の経験を踏まえても否定できるものではありません。
繰り返しにはなりますが、性の多様性は尊重され、内心の自由は保障されるべきものであります。
ただし、性自認を含めた差別禁止を法律化する場合には、女性の生存権の保障も含めたそこで生じる様々な課題について、事前に議論を十二分に尽くし、しっかりと対策を講じておくことが必要です。それは結果として対立を避け、当事者がカミングアウトしてもしなくても問題なく受け入れられる社会を円滑に築けるものと考えます。
現状において、そういった議論・対策はまだ不十分ではないでしょうか。そこをまずは進めるべきと考えます。
以上の理由から、本議会議案には反対が適切であると考えます。
(以上)

Ⅳ まとめ

「性自認」に関して、拙速に差別を禁止する法律を作ると、その後において女性の生存権・安全安心を訴える声すらも差別として封じられかねないことは先進国の事例や富士見市議会議員の経験を踏まえても否定できるものではありません。
女性の生存権を保障するために、先進事例を踏まえ、対立が生じないよう対策を事前に議論し、講じることがまずもって求められます。
これはあくまでも国への意見書であって、何か具体的にすぐどうのこうのというものではありません。ただ、本市でも対立が起こらぬよう議論を進めていく必要もあろうと考えます。
Ⅴ 関連リンク
〇【LGBT団体「男が女湯に入るはデマ」こそデマ】令和電子瓦版 2023年3月17日
【追加 2025.6.18】その後について
1.米国大使等の働きかけ
摂津市議会で議論されている頃、LGBT関連法案を巡って、当時の米国駐日大使のエマニュエル氏が成立を強く主張し、目に見える形でも様々な働きかけを行っていました。実際に多くの国会議員やマスメディアと接触しており、SNSでも頻繁に取り上げるなどその活動は「内政干渉」※1ではないかと物議を醸しだす程でした。
※1 産経新聞「エマニュエル駐日大使、14日に離任 LGBT巡り「内政干渉」の批判 原爆忌でも物議」2025.1.10
2.政府は理念法を制定
2023年6月16日、国会にてLGBT理解増進法が成立しました。自民党では一部の議員が採決で退場するなど※2反発ありましたが、当時の岸田政権のもと法案成立が進められました。罰則無しの理念法であったのが救いでしたが、懸念を解決しないままの拙速な可決には批判が多々上がりました。私も梯子を外された瞬間でもありました。
※2 産経新聞「LGBT法、参院本会議で成立 自民の3氏は採決時に退席」2023.6.16
3.女性スペースを守る法案について
『自民党は2025年5月20日にも「女性専用スペースで女性の安全と安心を確保する法案」の党内審査に入る。公衆浴場などを利用する男女の別を性自認ではなく身体的特徴で判断し、公共施設のトイレや更衣室などで女性の安全・安心の確保策を求めるもの。(略)』※3
このように今、自民党は女性の安全・安心のために頑張って取り組んでいますが、なぜ2023年の法律制定時に取り組まなかったのでしょうか。
※3 産経新聞「トイレ、更衣室・・女性スペースを守る法律を 自民が20日に法案審査へ LGBT法施行で」2025.5.16
4.順序が逆では?
私どもが女性の生存権が脅かされるのを懸念していた法律を国会は米国大使(バイデン政権の意向とも受け取られる※4)等の積極的な働きかけのもと、拙速に成立させ、そしてあとから問題点を解決しようとする。順序は明らかに逆です。
この事象は国の意思決定が他国の意向に左右されることを示唆するものと受け取れます。
※4 現代ビジネス「バイデン政権の日本改造の試みは失敗に終わる LGBT法案を進める岸田政権が甘すぎる理由」2023.6.16
