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摂津市就学前教育に関する職員アンケート(2021.12)、次なる取組みへ

Ⅰ 概 要

 令和3年度、市は小学校教員及び管理職、就学前教育施設の5歳児担当経験のある職員を対象に、就学前教育に関するアンケートを実施しました。

 このアンケートは本市の地域性、家庭環境及び子育て環境の実情を踏まえた課題を把握するためのものです。

 

 これまで就学前教育や当該施設と小学校との連携で、様々な課題が言われていましたが、文章化されておらず、課題認識の統一という点では遠いものでした。

 アンケート結果は、それを文章化し、課題の見える化に貢献します。これによって課題を共有することができます。課題認識が共有されれば、それについて議論し、そして解決に向けて進めることができます。とても意義のある取組みなのです。

 

 まずはしっかりとアンケート結果を分析し、またアンケート結果について意見交換を行い、アンケート結果からの課題を炙り出すことが求められています。


Ⅱ 就学前教育に関する職員アンケートについて

 アンケート結果について、市の担当課は、2021年10月議会で以下について述べています。

 

1.「入学までに身に付けておきたいこと・就学までに育てておきたい力」等の質問について

 

① 小学校・就学前施設双方共通して、「人の話を聞く」、「自己肯定感」、「コミュニケーション能力」、「集中力・忍耐力」等の、非認知能力の育成に関する項目を選択した割合が高い。

 

② その他に、「入学までに自分のことは自分でする習慣を身に付けてほしい」と考えている回答の割合も非常に高くなっている。

 

2.「5歳児や1年生の課題と感じる事」という質問について

 

① 先ほどの非認知能力の育成に加え、「授業中心の椅子に座って過ごす生活への適応」や、「身の回りの準備・整理整頓」という項目にも高い回答の割合がみられる。

 

② 「語彙の少なさ」に関しては、小学校の方が課題と捉えている割合が高く、言葉の育ちへの認識の相違も見られる。(以上)

 また、2022年1月中旬、私は市担当課との意見交換を行い、私はアンケートについて以下の意見を述べました。

 

1.その他の自由意見を見ると、「就学前教育のありかた・接続期の保育について」で、小学校側が多くの意見を出しており、児童の実態を通しての課題認識が強い。

 

2.同様の自由意見の「幼小交流会・合同研修について」で、就学前施設職員側が多く意見を出しており、交流を行って就学前教育の課題を探りたい意識があるのではないか。

 

3.上記を踏まえ、就学前施設と小学校とで課題認識に差異が見られる。

 

4.「就学前教育で重要なこと、育てたい力」について、【人の話を聞く力の育成】が両者ともに高い。これは【語彙力向上の取り組み】にも関連するし、【コミュニケーション能力の育成】にも関連する。この関連性を調べればより効果的な育成施策を見出せるのではないか。

 

5.「就学前教育で重要なこと、育てたい力」での結果の裏を返せば、人の話を聞くことができない児童・自己肯定感が低い児童・コミュニケーション能力が低い児童が多いという実態を表しているのではないか。

 このことは、以前からも小学校でお聞きしていた小学1年生で既に差が生じていることを示すものだ。などです。

 

 

ダウンロード
小学校教員及び就学前施設職員向けアンケート結果.pdf
PDFファイル 915.7 KB

Ⅲ アンケートの分析等と今後について

 アンケートは、就学前教育・接続期の課題の見える化に貢献しました。

 

 例えば、本市での児童・生徒の自己肯定感の低い割合が大きいことは小中学校の大きな課題です。

 まずもって幼児期から低ければ、なかなか小中学校で向上させることは難しいでしょう。それを就学前教育でどう高める工夫をすることができるのか、あるいは気にしなくて良いのか。

 その為の議論の土台としてアンケートは活用できるでしょう。

 

 今後、アンケート結果の分析を進め、具体的な施策に落とし込んでいく必要があります。

 市担当課は就学前施設とアンケート結果について意見交換を行い、その後小学校とも意見交換を行って、その分析をさらに進めて行く予定です。

 そしてアンケートの結果をまとめ、国が進める「幼児教育スタートプラン」、「幼保小架け橋プログラム」等にも注視しながら、本市の就学前教育の充実に取り組みの検討を進めることとなります。

 私は市担当課に、アンケート調査結果の情報公開も行い、就学前施設職員と小学校職員のそれぞれにアンケートを機会がある度に渡して、読んでもらい認識の共有をしっかりと図っていくべきと要望しました。

 

 


Ⅳ 就学前教育の改革に向けて

 アンケートは就学前教育施設と小学校の連携(幼保こ小の連携)の改革に向けた大きな一歩となります。

 子ども達のためにも就学前施設と小学校との連携を進めていかなければなりません。

 

 ただ簡単ではありません。市担当課が考える課題の一つとしては、就学前教育は義務教育ではないということです。一律に課すことはできず、あくまでも就学前施設と保護者の自発的協力によって、はじめてこの改革は成り立つのです。

 

 その接点をどう持っていくのか、それもまた検討が必要となります。

 

 まずは、就学前教育施設職員と小学校職員が一層の交流を持ち、アンケートでの課題認識を共有し、それを解決しようと議論し、それぞれが自発的に取り組んで行くそのような環境を市が構築、提供していくことが求められます。

 

 それが改革の歩みとなっていくでしょう。

 また他の課題としては、就学前教育を小学校の事前教育のように捉える方々がいるということです。机に座って勉強するのが就学前教育と捉え、むしろ子ども達のために不適切だと考えるのです。

 そして、各園には園児に学校生活ができる最低限のことを身に付けさせていれば、あとは小学1年生として、文字や数字など平等に対応して力を伸ばさせていけば良い、と意見を持たれている方もいます。

(そのことはややもすれば、小学1年生を過剰に保護し、いわゆる赤ちゃん返り小1プロブレムを起こす一因となっているのかもしれません。)

 

 しかし、多くの園で行われている就学前教育とは、いかにもお勉強の場というわけではなく、遊びなどを通した学びなのです。

 

 幼児期という成長にとって極めて大切な時期に、言葉や文字などを遊びを通して学んでいく、子ども達は楽しみながら自然と必要な語彙力・知識や非認知能力を養っていく、そして自己肯定感が向上していく。

 その年齢に合わせた手段・方法を適切に講じることで、学びの基礎力を養う。それが就学前教育で求められるところなのです。

 そして、それに合わせて小学校も受け入れ態勢を整え、円滑に小学校教育へと子ども達を誘導する努力が求められます。

 

 先入観で就学前教育に否定的な見方をする方を、少なくしていくことも必要なのです。

 

 


Ⅴ 最後に

 小学1年生の時点で児童間で差が生じている、また小1プロブレムがあり、その小1プロブレムを解決するだけで相当の時間と労力を費やしてしまい、できる子とできない子との学力格差を広げてしまう。そのような状況があります。

 

 その差を生む環境を、子ども達は選ぶことができません。

 

 その現実を受け入れ続けるのか、少しでもより良い環境を構築していくのか。

 

 摂津市はより良い形へと進めることを決意しています。

 それがこのアンケートを取ったことからも明らかであり、私もまた議会から全力で応援し、より良い施策を提言して参ります。

 

 当面は、語彙力向上の漢字での遊び(漢字での教育・語彙が増え、自分の思いをちゃんと伝えることができ、コミュニケーション能力と人の話を聞く力が向上し、結果として自己肯定感も向上)の普及の支援、市担当課の取り組みの議会からの後押し、各園の情報収集・意見交換や市へ伝えるなど、行ってまいります。

 

 


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