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風評被害、風評加害を防げ!!摂津市のPFOA問題


Ⅰ はじめに

 摂津市におけるPFOA問題について、その対策推進と風評被害防止の両方の同時進行が求められます。地域住民に二重の被害が受けることがないようにしなければなりません。

 

 対策推進については国や大阪府の調査や健康に関する基準値の策定が特に重要です。そして風評被害防止については、地域住民からの強い要望もあり、その防止の取組み、福島県での事例も挙げて、その風評被害の定着化、固定化の防止が求められます

 

 それらについて議会で質疑を行っています。

 

 


Ⅱ 現状のPFOA対策について

 2022年6月末時点でのPFOA対策について列挙しました。

 

①市は、水環境の継続監視を担う大阪府とも連携して、対応に当たっている。

 具体的には、大阪府が主宰する神崎川水域PFOA対策連絡会議において、地域の声を大阪府に届けるとともに、大阪府の調査の支援、府活動時の地元との調整等を実施している。

 

②市は、国に大阪府等を通じ、早期に人の健康への影響について、科学的な知見の集積に努めるとともに、調査研究及びガイドラインの作成等を要望している。

 

③市は、PFOAに関する情報発信の一環として、市のホームページを立ち上げている。今後、新たに国、大阪府等から得られた情報を適時更新し、情報発信に努めるとしている。(前議会で要望したもの。)

 

④現在、環境省において、令和3年度より環境研究総合推進費を用いて、PFOA等が土壌中にどのように挙動するのか、どのように効率的に除去できるのかという除去技術の開発をテーマに研究が行われている。

 

 

 


Ⅲ 風評被害について

 2022年3月7日の本会議において、市は「風評被害への相談等につきましては、地域住民からは様々な不安の声が上がっておりますとともに、地域の農業者からは、その地域で栽培した農作物が売れにくくなっているなどといった風評被害が発生しているため、風評被害に対する対策を講じて欲しいといった要望も、市に寄せられています。」という答弁を行っています。

 

 なぜ、本市で風評被害が発生しているのか。改めて風評被害、そして風評加害について福島県の事例を挙げて参考にしました。

 

1.福島復興に向けた「風評被害」への対応 - J-Stage

不確実情報・多義的情報は曖昧さを減少させることができず,むしろ曖昧さを増加させる情報・知識である。放射線被ばくによる健康被害には不確実性が残り,説明は多義的にならざるを得ない点がある。そのため福島の風評について,知識のみによる恐怖に対する効果には限界がある。 風評被害を止めるには,風評の加害者が被害に苦しむ被害者の視点をもって被害の深刻さを理解することが必要である。

社会心理学の視点からのアプローチと対処策の展望  関西大学 土田 昭司

 

 

②東京都民1,000 人を対象とした調査では,福島県産食品に対する意識割合は,「気にしない」>「躊躇する」> 「積極的に食べる」順となっている。ただし,「後年,影響が出る」,「次世代に影響出る」,と思っている人の割合が多いことから,このような点に関する正しい理解の不足が,風評がなくならない理由の一つと考えられる。また,福島県民の放射線に対する理解は都民よりも深いことを考えると,風評は,「他の地域から投げかけられる被害」とも考えられる。

被災地域でのケアコミュニケーション経験からの示唆 藤田保健衛生大学 下 道國

 

 

2.風評加害等について

 菅直人、小泉純一郎両氏ら5人の首相経験者が欧州連合(EU)欧州委員会に、東京電力福島第1原発事故の影響で子供が甲状腺がんに苦しんでいるとした書簡を宛てた問題で、福島県の関係者に反発が広がっている。国連の専門家委員会などの調査では福島原発事故と甲状腺がんの発症に因果関係が立証されていないからだ。甲状腺がんには治療する必要のない「潜在がん」も多く、裏付けに乏しい中で原発事故と甲状腺がんを結びつけようとする元首相らの行動は風評被害を広げかねない。「科学的根拠に反するメッセージだ。日本の首相経験者という権威による『風評加害』のもとになる」と福島県の渡辺康平県議は31日、産経新聞の取材に菅、小泉両氏の行いについて憤りを隠さなかった。

 

 

 今回の東日本大震災では、福島第一原発の事故による放射能汚染をめぐり風評被害が心配されています。

 実際にいくつかの県で、空気、土、海水や食べ物などから、原発事故が原因となる放射性物質が見つかり、イネを植えることを禁止する作付禁止や、採れたものを市場に出すことを制限する出荷制限などの対策がとられています。

 しかし、放射性物質が検出されていない食べ物や、そもそも被ばくの恐れのないものまでが利用を避けられ、商品が売れなくなったり、損害を受けたりするといった風評被害が、実際に起きています。

 自分がこうした風評被害の加害者とならないためには、他人から聞いたことを鵜呑みにするのではなく、自分自身でその根拠や出典、正当性を調べる努力をし、正しい判断や言動に心がけることが必要です。

 また、他の人に誤った情報を流してしまわないように注意することも重要です。

 

 

3.風評被害の定着化・固定化について

出典:【風評問題のメカニズムとその対策 関谷直也】 :環境省HP

 環境省資料の風評問題のメカニズムとその対策からは、風評被害の段階論としてプロセス4では、払拭できない神話が「事実化」し定着するという。数年かけて、そしてマスコミ等の周知も相まって、風評問題が事実化、固定化するというものです。

 例えばコメの全量全袋検査(放射性物質は検出限界値以下)を行っていても、その周知度合いなどもあって、福島県産を忌避されているということです。

4.市内で起きる風評加害??について

 市民の方から苦情が寄せられているのは、「低出生体重児」や「発がん性」などの健康被害の可能性について、過剰に不安を煽るような内容のビラが某党により、繰り返し市内地域に撒かれている、というものです。

 現時点として健康被害把握されていない中、慎重対応すべきものが、風評被害を招くような行為に走っている方がおられるという疑念があるというものです。

 PFOAは普段でも一定量、全国各地で私たちの口に入っている現状があり、過剰摂取防止に努めることで大丈夫なのですが、(詳細は前回ブログ参照)そういった事を知らせず、極めて恐ろしい劇物で汚染された土地という印象を作ろうとしているのが見受けられます。不確実情報PRされればされるほどに地域や市民の方の不安は募ります。

 繰り返しにはなりますが、PFOA除去すべきものです。だからといって現状を無視してまで風評被害を巻き起こすことは許されるものではありません。

 

 


Ⅳ 議事録

 PFOA対策と風評被害防止について議会で質疑しました。

 

令和4年第2回定例会一般質問 ~本会議3日目 令和4年6月27日~ 議事録(抜粋)

 

2 PFOA問題の対策推進と風評被害防止について

 

○松本議員

 次にPFOA問題の対策推進と風評被害防止について、まずはPFOA対策推進について、議会としても南野議長が先月の全国市議会議長会参加と合わせPFOA対策推進の要望を行っています。

 現在の市の対応状況等の取組みについてお聞かせください。

(略※)

 

○南野議長

 生活環境部長

 

○生活環境部長

 「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)の取り組み状況」についてのご質問にお答えいたします。

 PFOAの対応につきましては、国から示された対応の手引書では、水環境の継続監視を行い、PFOA等の暫定的な目標値を上回っている飲用井戸所有者につきましては、水道水の利用を促すよう助言等を行うように記載されております。このうち、本市の役割はPFOA等の暫定的な目標値を上回っている飲用井戸所有者に水道水の利用を流すよう助言等を行うこととなりますが、水環境の継続監視を担う大阪府とも連携して、対応に当たっているところでございます。

 具体的には、大阪府が主宰する神崎川水域PFOA対策連絡会議において、地域の声を大阪府に届けるとともに、大阪府の調査の支援、府活動時の地元との調整等を実施しております。

 また、現在、PFOAは水環境全体の暫定的な目標値しか基準がございませんので、国に、大阪府等を通じ、早期に人の健康への影響について、科学的な知見の集積に努めるとともに、調査研究及びガイドラインの作成等要望しております。

 その他の取り組みとしましては、PFOAに関する情報発信の一環として、市のホームページを立ち上げております。今後、新たに国、大阪府等から得られた情報を適時更新し、情報発信に努めて参ります。

(略※)

 

○松本議員

 次にPFOA問題についてですが、対策はできることに関しては進めているものと理解しました。スピード感を持つよう国・府へ働き掛けを継続するよう要望致します。

 そしてこの問題解決には国が早期に健康に関わる基準などを示すことも必要ですが、見通しは不明です。

 そして分からないが故に、不安が煽られれば瞬く間に風評被害は拡がります。井戸水等のPFOA汚染だけでなく風評被害という2重の不安・被害を地域に与えることは決して許されるものではありません

 例えば、福島県での放射能等を巡る風評被害に関して、環境省資料によると風評被害が定着、固定化してしまい、例え全量検査を行ったところで、その回復が難しい現状があります。

 傷つけるのは容易でも回復は難しい。その事実を踏まえ、冷静かつ慎重な広報が今、求められます。

 改めて風評被害の拡大と固定化を防ぐ取り組みについてお考えをお聞かせください。

 

○南野議長

 生活環境部長

 

○生活環境部長

 風評被害は、根拠の不確かな噂や曖昧な情報をきっかけに生じるものと認識しております。

 PFOAに係る健康に関する科学的知見の集積、国際的な評価がなされていない中で、話題だけが先行してしまいますと、風評被害への影響が大きくなることが懸念されます。風評被害の拡大と固定化を防ぐためにも、国、府等から得られた情報を基に、正確な情報を伝えていくことが肝要であると考えております。

 例えば、現在、環境省において、令和3年度より環境研究総合推進費を用いて、PFOA等が土壌中にどのように挙動するのか、どのように効率的に除去できるのかという除去技術の開発をテーマに研究が行われております。

 その成果をはじめ、今後、国や府の知見等の情報収集をしっかりと行い、先ほど取り組みで述べました市のホームページを活用して、情報発信をしてまいりたいと考えております。

 

 

○南野議長

 松本議員。

 

○松本議員

 風評被害を防ぐ取組みについて理解しました。

 極めて難しい問題、対策推進と風評被害防止同時に推進することが重要です。

 最後に、PFOA対策について総括的に市長のお考えをお聞かせください。

 

○南野議長

 市長

 

○森山市長

 大気汚染とか、水質等々ですね、環境行政、これの権限というのは、ほとんどと言ってもいいほど国、都道府県、これに委ねられている。そういう意味から言いますと、最先端で窓口を預かっている我々基礎自治体としては、こういった事案が起こる都度と言いますか、靴の上から痒い所にかくという言葉が妥当かは分かりませんけれども、戸惑いを覚えていることは確かでございます。

 このPFOAにつきましては、だいぶ前から国際的にも色々と議論がなされてきていることは承知しております。国内でも20年くらい前になるのですかね、発がん性など色々とされておったことも承知しております。

 摂津市内におきましては、平成17、18年頃か、水質の定点が設けられ、大阪府のほうで色々と測定して頂いた経緯があります。以来、定期的に行われております。非常に高い数値が出ているということで、以来、関係事業所、また大阪府、当該市と三者による協議と言いますか、安全策と言いますか、そういった協議を重ねてきたところでございます。

 そういう状況にありますけれど、さきほどから話が出ておりますけども、この因果関係と言いますか、はっきりとした原因、これが確定をしていない時点において、基礎自治体、我々が判断をするということはなかなか難しいことでございまして、ご指摘のように思わぬ風評被害につながってしまう、特に土壌汚染等々と作物と関係する数値については、何らまだ基準が示されておりません。この段階においては、言及することはできませんが、そういう意味でも、国がこの4月から測定に乗り出して頂いておりますので、早くですね、その結果を出して、安全安心だなと言えるようになれば良いなと思っております。

 引き続いて環境省のほうにもしっかりと早く測定し、結果を公表して頂くようお願いをしていきたいと思います。

 

○南野議長

 松本議員。

 

○松本議員

 ありがとうございます。

 PFOA問題について、しっかりと市民・地域の為に両方の対策を進めて頂くよう要望致します。

 

 

(音声データ等より作成)

重要と思われる部分には強調を入れています。

※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。

 

 


Ⅴ まとめ

 

①100%分からないから、不安を煽る。

 

②100%分からないといえども、過去の事実の積み重ね、他事例を踏まえ、慎重な対応を行う。

 

地域を守るために①と②のどちらを選択するのか。

 

PFOA対策を着実に推進するとともに、②による風評被害防止を図る

 

正しく知り、正しく恐れる。この事が大切です。

 

今、摂津市においてしっかりと両方の対策を進めて参ります。

 

 


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