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着々と進む「保幼小中の連携」による生きる力を育むことについて


Ⅰ はじめに

 

 生きる力の向上は一つの施策だけでは難しいものです。

 

 各種施策を合わせた総合的な取り組みが求められます。

 

 そのために就学前施設、小学校、中学校の一貫した連携と教育が必要であり、「就学前教育・保育実践の手引き」の改訂なども踏まえ、それぞれの取り組みについて議会で質疑を行いました。

 

 

 


Ⅱ 各種取組み等

 

 2019年から、私は議会において児童・生徒の生きる力を育むことを目指し、3要素」を満たすことを目標に政策提言に取り組んでいます。

 3要素とは、①学ぶための動機付け、②やる気の維持、③より良い教育環境の提供、と定義しています。

 

 その提言内容が着々と実現されています。

 

 「学ぶための動機付けと「やる気の維持については、教育員会が進めるキャリア教育が大きな目玉となっています。この取り組みは文科省からも評価されています。

 そして、これまでの中学校のみの取組みを小学校へと拡げ、より早期の時点から学ぶための動機付けを図り、そして小中と続けることでのやる気の維持にも繋がっていきます。そこにはキャリアパスポートが更に活かされることでしょう。

 

 そして、「より良い教育環境の提供」も進んでいます。その大きな取り組みとして、就学前教育施設での取組みです。より実践的な「就学前教育・保育実践の手引き」の改訂を今年3月に行い、保幼こ小の接続や、課題となる運動能力、そして言葉の大切さを一層意識した取組みのベースとなると期待されます。

 生きる力を育むには就学前施設からの取組みもとても大切になります。

 

 

 これらの内容について、6月議会で取り上げました。下記をご参照下さい

 

 

 


Ⅲ 議事録

 

 

令和5年第2回定例会一般質問

 ~本会議3日目・令和5年6月27日~ 議事録(抜粋)

 

 

7 幼保小中連携での生きる力を育むことについて

 

【質疑概要】

 

 生きる力の向上は一つの施策だけでは難しい。総合的な取り組みが求められる。そのために就学前施設、小学校、中学校の一貫した連携と教育が必要である。「就学前教育・保育実践の手引き」の改訂など、それぞれの取り組みについて質疑を行った。

 

 

⇒ 

○松本議員

 7 幼保小中連携での生きる力を育むことについて、小1から差が生じていることを踏まえ、一定の力を付けるための就学前教育が必要だと提言しています。「就学前教育の実践の手引き」の改訂においては提言内容も踏まえ、どう取り組まれたのかお聞かせ下さい。

(略※)

 

○福住議長

 次世代育成部長

 

○次世代育成部長

 「就学前教育・保育実践の手引き」についてのご質問にお答え致します。

 令和5年3月に改定した「就学前教育・保育実践の手引き」についてでございますが、平成23年度に策定した前手引きの考え方を踏襲しつつ、平成30年度に施行された幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、保育所保育指針に則った教育・保育内容を、学校園職員に向けに、より実践的に示した手引きであると考えております。

 改訂にあたりましては、市内の幼稚園、認定こども園、保育園、小規模園を含む公私立の各園、教育委員会関係課、小学校1年生の担任の先生方、さらには校長先生等のご協力のもと、様々なご意見等をいただき、完成したものでございます。

 内容と致しましては、特に保幼こ小の連携・接続に重点を置き、必要な教育・保育内容を網羅するとともに、本市の課題でもあります運動能力の育成につきましても、新たに記載したものでございます。

 また、議員からこれまでご示唆いただいておりました、言葉の大切さや学びの基礎力の育成等に関しましても、令和3年度に実施した就学前教育に関するアンケートや令和4年度実施の保幼こ小合同研修会、またそれぞれの先生方にお集まりいただきました保幼こ小意見交換会等のご意見等も参考にしながら、認知能力・非認知能力の育成という観点から、手引き内の言葉の領域だけでなく、全体を通じて表現しているものであります。

(略※)

 

○松本議員

 次に生きる力を育むことについて、しっかりと課題を研究され、言葉等の提言内容も踏まえ作成されたことを高く評価致します。

 また、合わせて保幼こ小の連携には小1スタートカリキュラムが必要だと昨年6月議会にて提言していますが、その取り組みについてはどうか、お聞かせ下さい。

 

○福住議長

 教育総務部長

 

○教育総務部長

 子どもたちが就学前教育で、どのような学びや生活を経験してきたかを小学校教員が知り、その内容踏まえ、小学校段階の学びを構築していく事は重要であると捉えております。

 今回改訂いたしました「就学前教育・保育実践の手引き」は、保育士だけでなく、小学校教員も作成に関わっており、改訂を行いました。「就学前教育・保育実践の手引き」には、就学前教育と小学校教育の目指す目的をそれぞれ掲載し、就学前教育で大切にしてきた「就学までに育ってほしい資質・能力」が、小学校入学後の子どもたちの学びにどのように繋がっているかがわかるよう具体的な事例も掲載しております。

 今後は、「就学前教育実践の手引き」からポイント抜粋したリーフレット等を作成し、それらを活用した研修会を実施するなど、市内全小学校教員が就学前教育との繋がりを意識した実践を行うとともに、とりわけ小1プロブレムに代表されるような子どもたちの小学校入学時の不安を取り除く取り組みを実践していけるよう指導して参ります。

 

○福住議長

 松本議員。

 

○松本議員

 現状はよく分かりました。是非、小1プロブレム解決のためにもしっかりと作成されるよう要望致します。

 今回の手引きの改訂には就学前教育施設だけでなく、先ほどの答弁にありました小学校との調整も必要であり、担当部署のコーディネーターが両方を行き来し活躍されたと多くの方から高い評価をお聞きしています。

 また「就学前教育実践の手引き」を生きたものにするには、継続した取組みが必要です。よって園と学校の架け橋となるコーディネーターは今後においても必須ですが、教育委員会の見解をお聞かせ下さい。

 

○福住議長

 次世代育成部長

 

○次世代育成部長

 就学前教育と小学校教育の架け橋となるコーディネーターについての質問にお答えいたします。

 先ほどご答弁いたしましたように、今回の手引きの改訂では、保育所・幼稚園・こども園・小学校の連携・接続に重点を置いており、就学前施設等の先生方がそういったことを意識しつつ手引きを活用していただくことが重要であると考えております。

 その上で、実際に小学校へ入学した子供たちの様子等を確認しつつ、取組みの効果を検証していく必要がございます。その役割を担うことができるのが、コーディネーター的な人材であり、現在は就学前教育推進担当参事がその任に当たっております。

 教育委員会としても、引き続きそのような資質・能力を備えた人材が必要であり、まずは、一定の経験と研修等を通じて認定される幼児教育の専門的な知見や豊富な実務経験を有する幼児教育アドバイザーの育成に努めつつ、その中からコーディネーターとなり得る人材を見極めていくことになると考えております。

 

○福住議長

 松本議員。

 

○松本議員

 是非、架け橋を維持・継続されるよう要望致します。

 さて、生きる力を育むことで忘れてならないのはずっと提言しています「やる気スイッチ施策」です。その一つとしてキャリア教育がどんどん進められていますが、小学校、中学校において、どう取り組まれているのかお聞かせ下さい。

 

○福住議長

 教育総務部長

 

○教育総務部長

 キャリア教育は、日々の授業や学級活動の中で社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、自分らしい生き方を実現させる教育と言われております。

 学校での学びと生活のつながりに気づいたり、自分の良さや可能性に気付いたりするキャリア教育の取り組みは小学校段階から重要であると考えており、本市では、子どもが家族など自分自身に近い存在から、地域や日本、世界へと少しずつ視点を広げ、様々な大人や社会との関わりの中から自分自身の生き方を考え、学びを深めるよう取り組んでおります。

 令和5年度、小学校では摂津市商工会等と連携し、子どもたちが地域にある様々な業種の企業の方から働くにあたっての思いなどを聞き、交流する機会を設定しております。中学校では、企業が抱える課題に対して自分たちの考えを提案する「職種体験プログラム」に加え、少人数の生徒と社会人がグループに分かれ、仕事の事や生き方について対話する「社会人トーク」など、各中学校が学校の実態に応じたキャリア教育プログラムを考え、それを実践しているところでございます。

 子どもたちが「未来を切り拓く力」を育むために、なぜ学ぶのか、学んだことが将来どう役立つのか、学校で学んでいる内容が将来の生き方に結びついていることを実感させることができるよう引き続き取り組んで参ります。

 

○福住議長

 松本議員。

 

○松本議員

 小学校にも広め着実に進めているとのことで、高く評価致します。

 学ぶ力の向上は一つの施策だけでは上がりません。総合的な取り組みが求められます。就学前教育施設、小学校、そして中学校も含めた一貫した連携・教育が必要です。しっかりと進められるよう要望致します。

 

 (以上)

 

(音声データ等より作成)

重要と思われる部分には強調を入れています。

※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。

 

 

 


Ⅳ まとめ

 

 保幼こ小中の連携、

 そして、①学ぶための動機付け、②やる気の維持、③より良い教育環境の提供を着実に満たしていく。

 その取り組みによって、本市の児童・生徒の生きる力をより一層育むことができるものと考えます。

 

 右図のように、例えるなら、子ども達が夢の螺旋階段を一歩ずつ上り幸せを感じえる、そのような環境構築に取り組むということです。

 

 なお、生きる力を育むことで、結果として学力向上にもつながると考えています。

 

 これまでの提言を着実に実現しています。

 

 

 

 


追記2023.8.29

 保幼こ小中の連携について、より分かりやすいようにイメージ図を作成しました。このイメージ図は適切に活用すれば逆算して考えられるようになります。

 例えば、本市では中学生の読書習慣状況は全国と比較して悪い状況です。それを改善するためには小学生の時にしっかりと読書習慣を身に付けておく必要があります。そのためには就学前において読み聞かせなど本に親しむ環境を構築することが重要です。中学生でいきなり新たな能力が身に付くものではありません。就学前・小学校の取組みの結果となります。

 上記のように、就学前の取組みが中学生にまで至るその積み重ねを意識して取り組むことが大切なのです。

 

 議会でしっかりと提言して参ります。

 

 

 

 


 

追記(2024/4/10)

 

 

〇「幼児教育と小学校教育の接続」パンフレットの作成・配布

 

 

 教育委員会は、「幼児教育と小学校教育の接続」パンフレットを作成し、令和6年4月から学校並びに新一年生の保護者等に配布することとなりました。

 「就学前教育・保育実践の手引き」から、保護者の方にも教職員にも理解を促すことができるように、A4の1枚物のリーフレットとして作成しています。

 校長会・教頭会等で幼児教育と小学校教育の目標や教育課程の在り方の違いを理解したうえで、学校教育の小学校低学年の段階では授業や休み時間など学校教育活動内外で遊びなどの体験活動などを通して、非認知能力を育むことが重要であると伝えていると、担当部署より説明を受けました。

 

 このような資料等を確認し、教職員に就学前教育との連携の重要性への理解が図られるとともに、保護者の方々やこどもたちが少しでも、スムーズに小学校生活を送れることが期待されます。

 

 小1スタートカリキュラムが必要という提言が、このような形で実現しました。

 

 

 

 

〇「民間保育所等読書活動推進補助金」の新設

 

 R6年度の予算で、就学前教育の推進事業の一環として、新たな補助金制度「民間保育所等読書活動推進補助金」が創設されました。

 これは、絵本の購入に関する補助金制度です。

 こちらは、担当部署での予算審議での答弁で、「様々な園を訪問するたびに、絵本自体が少ない園もあれば、絵本は多いけれども、行事等でみんなで見れる大型絵本がないという園もございます。園の裁量で、今、自園で一番必要な絵本を買っていただきたいという思いも込めまして、園の規模によって金額は変わってくるんですけれども、そういう補助金制度を予定。」というものです。

 

 就学前教育の推進への提言が、このような形で実現しました。

 

 

 

 

 


Ⅴ 関連リンク