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鳥飼小学校と鳥飼東小学校の統合について


Ⅰ はじめに

 

 令和8年度を目途に摂津市立鳥飼小学校と摂津市立鳥飼東小学校統合することになります。

 

 摂津市議会 令和6年第1回定例会にて、鳥飼小と鳥飼東小の統合に関する条例改正(案)が教育委員会より提出され、3月27日の本会議にて可決されました。

 

 統合の理由は少子化による小規模化で、教育上のデメリットが大きくなったことです。子ども達にとって豊かな教育環境維持・向上するために統合はやむを得ないと判断しました。

 

 

 

 

 


Ⅱ 統合への経緯

 

 鳥飼小学校と鳥飼東小学校の統合に関しては、この数年の話ではなく、平成14年5月の「摂津市立幼稚園・小中学校適正配置等審議会答申」から、長年の課題として検討されてきました。この時には三宅小学校と柳田小学校が統合され、三宅柳田小学校が設立し、また味舌小学校と味舌東小学校が統合され、味舌小学校となっています。

ブログ【旧三宅スポーツセンターと旧味舌小学校跡地の将来的な活用方法について

 

 鳥飼小と鳥飼東小の両校は、小規模校のメリットを活かしながら様々な工夫で取り組んできましたが、令和5年度には両校ともに1学年1学級になり、小規模化による教育上のデメリットが大きくなってきました。

 

 そして令和4年に提出された摂津市立小中学校通学区域等審議会による答申鳥飼地域における学校の適正規模・適正配置の検討について(答申) や、就学時・未就学児の保護者の方、地域の方々との意見交換を踏まえ、教育委員会は令和8年度に両校を統合するための条例改正案(摂津市立学校条例の一部を改正する条例制定の件)の議会提出に至ります。

 

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教育委員会資料【通学区域等審議会】.pdf
PDFファイル 3.4 MB

 上記写真は、鳥飼小学校と鳥飼東小学校の統合に関する保護者説明会にて使用された資料から抜粋したものです。両校は本市の鳥飼地域の中部から東部に位置しています。これらの地域は本市でも人口減少が最も大きい地域となっています。

 そして児童数については、上記右写真の通りで、鳥飼東小学校は令和元年度から、鳥飼東小学校は令和5年度から全学年で1学年1学級となっています。

 

教育委員会に小規模校のデメリットに確認すると、以下の点が挙げられました。

【学習面】

①集団の中で、多様な考え方に触れる機会や学び合いの機会、切磋琢磨する機会が少なくなりやすい。

②運動会などの学校行事や音楽活動等の集団教育活動に制約が生じやすい。

【生活面】

①クラス替えが困難で人間関係が固定化されやすい。

②組織的な体制が組みにくく、指導方法に制約が生じやすい。

【学校運営】教員の数が少ないため

①教職員1人当たりの業務量が増える。

②教員間で相談・研究・協力・切磋琢磨が行いにくい。

➂相談できる教職員が少ないため、精神的な負担が大きくなりやすい。

【その他】

PTA活動等における保護者一人当たりの負担が大きくなりやすい。

 

 このようにデメリットが大きくなってきたことは大きな問題で、更なる対策が必要になってきたことと、令和9年度に鳥飼東小学校に入学する児童数が10人程度になることも統合への大きなきっかけとなったと説明を受けています。

 

 

 そして、教育委員会は令和5年6月から8月に「鳥飼地域における学校の適正規模・適正配置計画」(骨子案)について、鳥飼小学校、鳥飼東小学校において保護者説明会を複数回行い、また地元の自治会長や公開説明会等も実施し、関係者方々の一定の理解を得られています。

 

 

 そのうえで、令和6年第1回定例会にて、教育委員会は統合に関する条例改正(案)の提案となっています。

 

 

 自民党・市民の会は、以前からも両校の小規模校化への対応を議会にて求めており、小中一貫校、義務教育学校として魅力ある学校にすべきと提言してきました。詳細はブログ「鳥飼まちづくりグランドデザインと河川防災ステーション」を参照下さい。

 今回の条例改正では、予算・時間・人口減少等の制約で、義務教育学校とはなりませんでしたが、統合はやむを得ないものとして、しかし、これをきっかけに教育の魅力化を更に図るよう求めています。

 また、統合では鳥飼東小学校が廃校となり、既存の鳥飼小学校が引き続き使用される形となります。そのため、鳥飼小からは遠方となる児童たちの通学時の交通安全確保距離等の観点でスクールバスを出すよう要望しています。

 

 

 

 


Ⅲ 議会にて

 

 令和6年第1回定例会(2月20日~3月27日)にて、鳥飼小と鳥飼東小統合に関する質疑が多く交わされました。

 

 そして議決では、私たちの自民党・市民の会や公明党等が賛成し、共産党や大阪維新の会等が反対し、賛成と反対が同数になったことから、議長裁決により、可決となりました。

 

 

 自民党・市民の会として、代表質問や条例案の質疑、そして賛成討論を行いました。

 賛成した趣旨は以下の通りです。

 

◎賛成の趣旨

1.子ども達にとって最良の教育環境を提供する事が先ずもって優先されるべき。

2.小規模校のデメリットが大きく、教育環境の悪化を止める必要がある。

3.統合に関する議論はこれまでもしっかりと積み上げられている。一部の統合への懸念の声は、今後計画の具体化の議論で解消できるよう努力すべきである。

4.跡地活用については、時間がかかる。議論すべきということは理解はできるが、教育を犠牲にすべきではない。議論は引き続き、地域の方も交えて取り組む必要がある

5.鳥飼グランドデザイン※の魅力ある教育環境の実現のために、統合を活かす必要がある。グランドデザインと相反するものではない。むしろ統合による可能性は無限大である。しっかりと取り組むことが大切。

 

(※鳥飼まちづくりグランドデザインとの関係)

 グランドデザイン記載の「魅力ある教育環境」には、①学校規模及び配置の適正化、②社会変化等に適応した教育の充実、➂学校施設の有効活用の記載があります。

 教育委員会は、子ども達が様々な人々とつながり、学校に行くのが楽しいと思えるような魅力ある学校づくりに取り組むとしています。

 

 

◎他会派の反対意見の趣旨について

1.地域にはまだ統合に不満の方がおられる。

2.学校施設の跡地活用が決まっていないのに廃止すると地域拠点が無くなるのではないか。

3.鳥飼グランドデザインの人口を増やすという点で学校を無くすのは、デザインとは反するのではないか。

4.もっと議論する必要があるのではないか。時期尚早ではないか。

 

 


Ⅳ まとめ

 

 学校は誰のためにあるべきなのか。

 

 当然のこと、学校は地域コミュニティの核でもあり、地域の歴史を示すものでもあり、尊重すべきものです。でもまずもって第一なのは子ども達にとってどうあるべきか、ではないでしょうか。

 

 また、決して小規模校を否定するものではありませんが、比較的市域が狭い摂津市内において、ある学校は1学年4学級あり、ある学校は1学年1学級で10人前後、というような教育環境に大きな差が生じることは望ましくありません。教育委員会として限界と認識している状況です。


 加えて鳥飼が不便だからと安威川以北に引っ越しをされる方もおられる中で、豊かな教育環境を維持・向上を図ることは子ども達だけでなく、保護者にとっても安心材料を与えるものです。

 

 私たちは学校の原点に帰って、統合が教育に望ましいものとして賛成を投じました。

 

 今後の議論では、通学の安全確保の取組みなど、統合開始に向けた具体策になっていきます。勿論、鳥飼まちづくりグランドデザインも考慮した跡地活用の議論も重要です。

 

 

 私は条例改正案の質疑で、以下のように要望しました。

 

「(略)これから協議会をされるということです。当然、様々な議論をする上で、鳥飼小学校と鳥飼東小学校は単なる人数が少なくなったからというものじゃなくて教育をいかに向上させていくかに、ぜひ焦点を絞っていただきたい。

 地域住民は、様々な御不満がある一定の中で、統合してよかったと思っていただける形にしていただきたい。

 そういった中で、統合時には様々な研究校もあります。加配教員もいっぱいいて、習熟度別もしっかりして、学力も非認知能力も認知力も上げていく。ぜひそういった研究校にしていただく、それぐらいの意気込みを持って取り組んでいただきたい。

 協議会で様々意見を聴いてその意見を反映するだけでなく、教育委員会としてどうあるべきだと、この鳥飼小学校、鳥飼東 小学校が、少子高齢化において対応できる魅力ある学校を、教育委員会としてこうあるべきだとしっかり持って取り組んでい ただきたい。

 これまではネガティブなところでの結果になっています。ぜひポジティブな形にしていただけるように強く要望します。」

 

 

 

 子ども達がここに通いたい、保護者をしてここに子どもを通わせたい、そう思える魅力ある学校にすべく議会からも取り組んで参ります。

 


Ⅴ 関連リンク

 

1.「摂津市立鳥飼小学校