Ⅰ はじめに

救急出動は年々増加しており、本市救急体制は逼迫している。救急車配置でも安威川以南は未配置である。その要因は職員不足である。
実際に本市の消防職員の充足率は50%を下回っており、その強化は必須である。それらの現状と課題等について令和7年第2回定例会で質疑を行った。
Ⅱ 現状
1.逼迫する救急需要
本市における救急出動件数は、令和5年は6,052件、令和6年は6,146件となっており、近年6,000件を上回る状況となっています。(令和3年度4,854件、令和4年度5,871件、「摂津市での逼迫する救急出動を踏まえ、その対応と今後の消防行政の広域連携(北摂広域消防組合や大阪消防庁)等について」を参照)
出動体制では、市内全域を救急車4台で対応しています。救急事案が輻輳し、本市救急車4台全てが出動している場合は、他市の救急隊から応援出動を受けており、令和6年は吹田市から42件、高槻市から3件の応援を受けています。本市から他市へは吹田市への6件の救急応援となっています。
また、救急事案の輻輳では救急出動件数増加だけでなく、令和6年の摂津市外の医療機関への搬送率が96%となり、過去一番高い市外搬送率となっており、救急出動1件あたりの活動時間が長くなっていることが要因として挙げられています。

2.安威川以南の救急車未配置
救急車の配置については、本署に3台と千里丘出張所に1台となっており、安威川以南への救急車配備ができていません。(左図参照)このことは、地域によって救急隊の現場到着時間に大きな差が生じているのものであり大きな課題です。
消防は、鳥飼出張所への救急車配備について様々な方法を検討しているものの、これには消防職員の増員が伴うため実現できていません。

3.消防職員の低充足率
右表は「北摂地区実態調査の北摂各市における消防職員の充足率」です。本市の消防職員の充足率が43%と、唯一50%を下回っており、逼迫する救急出動や安威川以南の救急車未配置、そしてマンパワーを必要とする災害対応が困難になる等、大きな課題です。
消防本部についても、「近年の救急件数増加や懸念される南海トラフ巨大地震等に備えるためにも、近隣市より消防職員の充足率が低い事は、大きな懸念事項であると考えております。」と答弁しています。
ただ、現在の本市財政状況や市職員全体での定数管理もあって、すぐさま消防職員を増員するとの判断に至っていないのが現状です。
さきほどの、救急車4台のうち、2台は救急車と消防車の乗り換え運用となっています。2台だけが専属です。
令和6年、乗り換え運用している千里丘出張所の救急隊出動件数が1,624件、本署の第3救急隊が449件となっており、この出動の間は消火隊が減隊となり、火災等の出動事案に対応する消防力が低下してしまっているのも大きな課題です。
Ⅲ 救急体制の改善に向けて

1.充足率向上へ
少なくとも消防職員の充足率を50%にあげるべき!
改めてそう強く認識するところです。
本市は他市からの応援を受けていますが、市民の安全安心のためにも自分たちの消防行政にもっと力を入れるべきです。充足率を見ればその差は歴然です。
以前から指摘していた救急需要の急増に適切に対応するには増員は必須です。財政が厳しいからと他市より力を入れません、という理由は適切ではありません。議会からもっと声を上げていきます。

2.はしご車の共同運用を進めるべき
現在、市は吹田市とはしご車の共同運用を検討しています。これは以前からも提言してきた案件です。
これによって経費を抑えながら消防力の維持・向上を図ることができます。浮いた購入費用で職員を確保する、そうしたスクラップ&ビルドを行うよう議会で提言しています。
3.救急車の安威川以南への配置へ
しっかりと上記によって消防職員を確保したならば、安威川以南への救急車の配置も進めなければなりません。
どの地域の方々も分け隔てなく救急対応を迅速に受けられる。
その取り組みをしっかりと議会で提言していきます。
Ⅳ 議事録

令和7年第2回定例会一般質問
~本会議3日目・令和7年6月27日~ 議事録(抜粋)
6 逼迫する救急出動等を踏まえた消防力強化について
○松本議員
6 逼迫する救急出動等を踏まえた消防力強化について、令和5年6月議会でも質疑しましたが、令和6年4月に5市による消防指令センターの共同運用が開始されました。まずは共同運用が5市になってからの救急出動件数や他市との連携などの現状をお聞かせ下さい。
(略※)
○三好議長
消防長
○消防長
5市消防指令業務共同運用開始後の本市救急出動の現状や連携についてのご質問にお答えいたします。
救急出動件数につきましては、令和5年は6,052件、令和6年は6,146件となっており、近年6,000件を上回る状況でございます。
出動の体制につきましては、市内全域を救急車4台で対応しております。
救急事案が輻輳し、本市救急車4台全てが出動している場合は、他市の救急隊に応援出動していただいている状況でございます。救急事案につきましての応援回数といたしまして、令和6年は吹田市から42件、高槻市から3件の応援をいただいており、摂津市から吹田市へ6件の救急応援をいたしております。
他市においても救急事案が増加しているため、北大阪消防指令センターで各市の出動状況を確認しつつ、可能な範囲で相互応援しながら救急事案に対応しているのが現状でございます。
(略※)
○松本議員
最後に消防力強化について、救急出動が増加していること、逼迫時には多くの応援を受けて対応している現状は理解しました。こうした現状での課題分析と救急車の配置状況についてお聞かせ下さい。
○三好議長
消防長
○消防長
救急室の現状の課題や分析した内容や救急車の配置等についてお答えいたします。
救急件数が年々増加する中、軽症者の搬送を少しでも抑制するため、#7119救急安心センターおおさかの利用促進や普及啓発にも取り組んでいましたが、一定の効果あるものの大幅な件数の抑制には至っておりません。
また、搬送先医療機関につきましても、令和6年は摂津市外の医療機関への搬送率が96%となり、過去一番高い市外搬送率となっており、これも救急出動1件あたりの活動時間が長くなっている要因と考えております。
その他の課題といたしましては、救急隊4隊のうち、2隊は消火隊と乗り換えての運用となっているため、救急隊全体が出動しますと消火隊が2減隊とされることとなります。
令和6年の出動実績としまして、乗り換え運用しております千里丘出張所の救急隊が1,624件、本署の第3救急隊が449件となっており、この出動の間は消火隊が減隊となりますので、火災等の出動事案に対応する消防力が低下し、その頻度が増えてしまっているのも大きな課題と考えております。
救急車の配置については、本署に3台と千里丘出張所に1台となっておりまして、安威川以南への救急車配備ができておらず、地域によって救急隊の現場到着時間に大きな差が生じているのも課題と考えております。鳥飼出張所への救急車配備について様々な方法を検討いたしておりますが、これには消防職員の増員が伴うことから、関係部局との協議を重ねているところでございます。
○三好議長
松本議員。

○松本議員
高い市外搬送率は本市の特性と理解します。
それではここで資料2を投影して下さい。
これは北摂地区実態調査の北摂各市における消防職員の充足率です。本市の消防職員の充足率が43%と、唯一50%を下回っており、逼迫する救急出動や安威川以南の救急車未配置、そしてマンパワーを必要とする災害対応が困難になる等、大きな課題と考えます。速やかに増強すべきです。
それについて市の見解をお聞かせ下さい。
○三好議長
消防長
○消防長
現状の消防職員の充足率についてご答弁いたします。
近年の救急件数増加や懸念される南海トラフ巨大地震等に備えるためにも、近隣市より消防職員の充足率が低い事は、大きな懸念事項であると考えております。
以前から関係部局と人員の増員について継続的に協議しておりますが、現在の本市財政状況や市職員全体での定数管理もあり、すぐさま消防職員を増員するとの判断に至ってないのが現状でございます。
そのため消防本部では、職員増員以外で災害対応力の維持・強化できる取り組みといたしまして、平成28年4月から吹田市・摂津市の消防通信指令業務共同運用を開始し、令和6年4月からは5市2町による消防通信指令業務の共同運用に拡大し、通信指令業務に関わる人員や経費を抑えながら最新の通信指令台を整備することで消防力の維持・向上や連携強化に努めて参りました。
現在は、吹田市とはしご車の共同運用を検討しており、さらに経費を抑えながら消防力の維持・向上を図りつつ、将来を見据えた適正な消防体制につきましても引き続き関係部局と協議して参りたいと考えております。
○三好議長
松本議員。
○松本議員
先ほども述べましたが安威川以南には救急車が配置されていない。救急出動が逼迫する中、少しでも早く搬送できるようすべきであり、今の消防力には課題大きいものと考えます。鳥飼まちづくりも進められていますが、安全安心はまちづくりの土台です。
消防力を増強する必要があると考えますが、是非、市長の見解をお聞きしたいと思います。
○三好議長
市長。
○嶋野市長
松本議員のこれまでの経験もあろうかと推察します。(略)
さきほど消防長も答弁しておりましたが、実際に近隣市との共同運用を始めておりますし、また広域連携によって災害対応力を更に強くできるものは今、現在も行っておりますし、これからも行っていきたいと思います。更に課題といたしまして、鳥飼出張所に救急車が配備できていない、という問題もございます。これも非常に大きな問題と考えておりますので、引き続き大変厳しい財政状況ではありますが、安全安心な街をしっかりと担保していく、そのための適正な消防力について、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
○三好議長
松本議員。
○松本議員
ありがとうございます。
はしご車の共同運用でのスクラップ&ビルドで、是非、職員確保をして下さい。消防力を増強し、他市並みの充足率50%、これを目指して取り組んで頂きますよう宜しくお願い致します。
(以上)
Ⅴ 関連リンク