幼児の成長を促進する読み聞かせと漢字教育について(就学前教育)

 

 市民の方から、「これは素晴らしい幼児教育の取り組みですよ。」と、ご紹介頂いた幼児向けの「漢字かな交じり絵本」を使った漢字での教育をご存じでしょうか。

 

 私は紹介されるまで知りませんでしたが、その内容を調べた結果、幼児期での脳の成長にとても効果の高いものと感じました。実際に、園での取り組みでも僅かな期間で子ども達の語彙力が豊かになっていくことを見て、納得しています。

 そして先日のブログに記載した「読み聞かせ」の重要性を踏まえ、「漢字かな交じり絵本」での読み聞かせが、一層の高い教育効果を生むと考えます。

 

 改めて、幼児の一層の成長につながる有効な取り組みである「読み聞かせ」と「漢字での教育」がどのようなものか、各種資料等を参考にまとめました。詳細は下記のものです。

<1 幼少期だからこそ行うべき読み聞かせ・読書習慣化について>

 幼児教育では、子どもたちの脳の成長を大きく促すことが大切です。それには読み聞かせや読書活動の習慣化を図ることが重要です。

 

1-1 読み聞かせ・読書が言語能力に関する脳の神経回路を発達・成長させる。

 

(1) 調査研究により、読書をたくさんしていた子ども達ほど神経線維ネットワークの結束力が強く、さらに3年後の神経回路の発達度合いも大きいという事が明らかになりました。脳科学的には、読書を通した言語能力に関する神経回路の強化が「頭の回転の速さ」につながる可能性があると云えるとされます。※1 p98-p100

 

 (2)読み聞かせによって、脳のコミュニケーションの中でも聞くことに関する部位が集まる「側頭葉」と、感情反応や記憶に関わる領域の集まりの「大脳辺縁系」と呼ばれる部分で強い活動が見られ、それらの神経回路の強化につながると考えられます。※1 p126-p128

 

(3)その他、脳科学では児童虐待被虐待児の脳の成長に悪影響を与えることも明らかにされています。例えば、暴言虐待による聴覚野容積の拡大や両親のDV 目撃による視覚野容積の縮小をもたらし、うつ病やPTSD、認知機能の低下を引き起こします。※2

 

(4)上記(1)~(3)を踏まえ、子どもの脳の成長は子育て環境次第で変わるものであり、より良い効果がある読み聞かせを行うことは極めて重要と云えます。

 

1-2 幼児の読み聞かせが「将来の学力」を上げる

 

 (1) 1ー1を踏まえ、読み聞かせは、言語、感情、そして他者の心の状態についての理解といった社会的認知に関する様々な脳の部位の活動を起こし、言語発達やその後の学力向上、ひいては自己実現に寄与します。また、幼児の言語発達の促進により、コミュニケーション等が円滑になり、問題行動が減少するともいわれます。※1 p149-p154

 

(2)読み聞かせ頻度について、ベネッセの調査から年少から年長のどの年齢でも週に1日以上読み聞かせる家庭が半数以上です。またOECDの報告書では、毎日ではなくても週に1,2回の頻度以上で読み聞かせを行っている子どもは、その後の学力に違いが出てくることが示されています。ただし強制するものでなく、自然なコミュニケーションの中で行うことが適切です。※1 p160-p164

 

1-3 読み聞かせなどでの読書習慣化は、小学生の学力向上につながる。

 

(1)各家庭の社会経済的背景の影響を考慮した場合であっても、小学生の学力に一番影響するのは家庭での「読書活動」であると明らかになっています。※1 p114

 

(2)仙台市の児童の実態調査によると、小学5,6年生で偏差値平均が最も高かったのは一日の「読書1時間以上、勉強30分~1時間」※1 p60-p62となり、摂津市でも一日の読書時間が「1時間以上、2時間より少ない」や「30分以上1時間より少ない」と回答している児童の学力が高い(但し、学習時間は長いほど学力は高い。)との結果になっています。※3

 

1-4 読み聞かせが親の育児ストレスも減らします。

  読み聞かせをとおして大人が子どもに関わり、コミュニケーションすることで、「社会的情動的スキル」、「非認知能力」の高い子が育てられ、また読み聞かせの時間と比例して大人のストレスが低下することも関連性があるとされています。※1 p142-p148

 <2 幼少期だからこそ有効な漢字での教育について >

 意外と思われる方も多いかと思います。私自身も調べる前までは半身半疑だった漢字での教育。取り組んでいる園の内容等も踏まえ、より高い教育効果があると分かりました。

 

2-1 漢字教育での語彙力向上について

 表意文字とも云われる漢字は「目」で理解する言葉(視覚言語)です。一見複雑そうですが、それ故に識別しやすく、幼児には絵を見るのと同じように理解されます。一方、音節文字であるひらがなやカタカナは抽象的で、耳で理解する言葉(聴覚言語)となります。※4

 また、五感による知覚の割合として、聴覚の11%に対し、視覚は83%となっており※5、この点でひらがなよりも、漢字という視覚言語が認知されやすいといえます。

 そして幼児の覚える力において、0~3歳をピークに10歳頃までがもっとも高く、これを「機械的に覚える力」ともいい、興味があれば何でも即座に記憶してしまう丸暗記能力です。この丸暗記能力に対して、8~9歳頃から育つ物事を論理的・体系的に理解し認識する能力を「論理的に覚える力」といいます。※4,6

 幼児の機械的に覚える時期に、認知されやすい漢字という視覚言語を活用して、言葉の豊かな子にすることにより、早くから論理的に覚える力が高まります。※4,7

 

2-2 漢字での教育の取り組み内容について(※8,9,10抜粋)

 2-1を踏まえて行われている漢字教育の一例を紹介します。

 

(1)漢字を教える教育ではなく、漢字で教える教育

「漢字かな交じり文」の教材(絵本・カードなど)を活用し、自然と子ども達が負担なく覚える仕組みです。

 

(2)子どもの特性を活かした取り組み

幼児の大好きな「繰り返し」を続け、習慣化を図ります。よい学習も、習慣として身に付いた時に、その効果が現れてきます。

 

(3)漢字の早期理解は読書活動の習慣化に寄与

漢字の理解によって、読むことの力が自然と養われます。この読む力が養えば、本を一層面白く読めます。面白ければ、読みたくなる。子どもが進んで読書活動を行う姿勢を支えることになります。

 

 以上、「読み聞かせ」と「漢字での教育」のメリットについて述べました。

 

 そしてこれらを組み合わせたのが「漢字かな交じり絵本」での読み聞かせです。この組み合わせでの取り組みは幼児教育において高い効果を発揮するものと考えます。

 

是非、ご参考下さい。

 

 

参考文献等

※1「本の読み方」で学力は決まる 川島隆太監修(ニンテンドーDS脳トレシリーズ監修)青春新書 2018.9.15

※2「被虐待者の脳科学研究」児童青年精神医学とその近接領域 57(5), 719-729, 2016 友田明美

※3 摂津市議会2020年第3回定例会一般質問 議事録 松本あきひこHP

※4 石井式漢字教育オフィシャルサイト www.ishiishiki.com

※5「産業教育機器システム便覧」(教育機器編集委員会編 日科技連出版社 1972)p4

※6 暗記とは - コトバンク (kotobank.jp) 日本大百科全書の解説

※7 科学も証明。日本の漢字教育が育む、子どもの心と高い知能指数 MAG2NEWS 2017.2.1 https://www.mag2.com/p/news/236840

※8 かなから教えていませんか? 石井勲著 家庭教育研究会著作 ㈱医学教育出版社 2002.7.30

※9 学校法人ひかり学園 第一ひかり幼稚園(神奈川県)HP - 漢字教育 https://hikari-gakuen.com/daiichi/course/

※10 学校法人聖パウロ学園 光泉カトリック幼稚園(滋賀県)HP - 漢字教育 https://www.setakousen.jp/

「漢字かな交じり絵本」の販売先(一例)リバーホエール絵本館 (riverwhale.com)

簡易版などをPDFにまとめています。写真データも添付していますので、ご参考下さい。

 

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読み聞かせ・漢字教育(保護者向け案)2021.2.10.pdf
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漢字教育の要領とQ&A(案)2021.2.10.pdf
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読み聞かせ・漢字教育(指導者向け案)2021.2.10.pdf
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