【ブログ内項目】
Ⅰ はじめに
Ⅱ 現状について
Ⅲ 外国人政策等の法整備について
Ⅳ 治安問題・軋轢等について
Ⅴ 移民政策の議論・先進事例等について
Ⅵ 移民問題における負の影響について
Ⅶ 政府等の移民を巡る方向性について
Ⅷ まとめ
Ⅸ 関連リンク
Ⅰ はじめに
2025年末時点で在留外国人は約412万人です。これは過去最多であり、また2012年末時点・約203万人の2倍以上で、わずか13年で約209万人増加したことになります。また令和6年は約376万人で、1年間で約36万人増加したことになります。
日本は1960年代初頭までは外国へ人を送り出す国でしたが、1980年代頃から外国人労働者を受け入れる国に変化しました。それ以降、在留資格の緩和あるいは外国人留学生等での受け入れの推進が行われています。
この外国人受け入れについて近年、移民ではないかと指摘され、また治安問題などで大きな課題となっています。
そこで外国人政策・移民問題について、過去の経緯、現状等を踏まえて考えてみたいと思います。
Ⅱ 現状について
まずは在留外国人の人数や在留資格、またなぜ増えているのかなどを資料等から紹介します。
1.在留外国人数等の推移について
出入国在留管理庁の令和7年度末公表資料による在留外国人の推移等について以下の通りです。
①在留外国人の推移
2025年末時点で在留外国人は約412万人です。この数字は過去最多となります。2012年末時点・約203万人の2倍以上であり、13年間で約209万人増加しています。また令和6年は約376万人で、1年間で約36万人増加したことになります。
②国籍・地域別・在留外国人、在留資格別 在留外国人の構成比
国籍別では、上位国として中国が約93万人、ベトナム約68万人、韓国約40万人となっています。
在留資格別では、永住者約94万人、技術・人文知識・国際業務約47万人、留学約46万人、技能実習約45万人、特定技能約39万人、家族滞在約35万人となっています。
③ 在留資格別 在留外国人数の推移
主要な在留資格別 在留外国人の推移について、
①【経営・管理】
2020年末約2万7千人のところ、2025年末で約4万6千人と5年間で2倍近く増加しています。
②【技術・人文知識・国際業務】
2020年末約28万人のところ、2025年末で約47万人と5年間で1.7倍近く増加しています。永住者の次に多い資格となります。これについては上限はありません。
③【特定技能】
特定技能1号は2020年末約1万5千人のところ、2025年末で約38万人と5年間で大幅に増加しています。受け入れ枠は82万人です。
また特定技能2号は2023年から順次、制度利用が可能となり、2025年末時点で約8千人に増加しています。これは2024年末の10倍です。受け入れ枠上限はありません。
④【技能実習】
2020年末約37万人のところ、2025年末で約45万人と5年間で1.2倍増加しています。24年末からは増減はほぼありません。
⑤【留学】
2020年末約28万人のところ、2025年末で約46万人と5年間で約1.6倍増加しています。
⑥【家族滞在】
2020年末約19万人のところ、2025年末で約35万人と5年間で約1.8倍増加しています。
⑦【永住者】
2020年末約80万人のところ、2025年末で約94万人と5年間で約1.2倍増加しています。
主要な①~⑦項目を挙げましたが、いずれも過去最多となっています。
④ 在留資格一覧表
「在留資格」とは、外国人が日本で行うことができる活動等を類型化したもので、法務省(出入国在留管理庁)が外国人に対する上陸審査・許可の際に付与する資格です。(外務省HP)
現在、「在留資格」には29種類の資格があります。
●特定技能制度
最近話題の特定技能制度については、国内での人材確保が困難な状況にある特定の産業分野において、一定の専門性や技能を有する外国人を受け入れることを目的として作られた制度です。
特定技能1号は即戦力となる人材を対象としており、2号はさらに高度な熟練技能を持つ人材を対象としています。特に2号は、期間上限も無く、家族の帯同が可能になるなど、より長期的な定着が見込まれる資格とされています。
特定技能外国人の受入れが認められているのは、以下の16分野が対象です。
1.介護、2.ビルクリーニング、3.工業製品製造業、4.建設、5.造船・舶用工業、6.自動車整備、7.航空、8.宿泊、9.自動車運送業、10.鉄道、11.農業、12.漁業、13.飲食料品製造業、14.外食業、15.林業、16.木材産業
それぞれに受け入れ見込み数を設定しており、令和6年4月から5年間の受け入れ見込み数は82万人です。その内容は以下の通りです。
2.外国人労働者と企業等の関係について
なぜここまで在留外国人が増えたのでしょうか。当然のこと企業が外国人を労働者として採用していることに他なりません。それに関する記事等を紹介します。
①外国人労働者13年連続増加、2025年は過去最多の257万人…人手不足で企業が積極採用
読売新聞オンライン 2026/01/30
厚生労働省は30日、昨年10月末時点の国内で働く外国人労働者が、過去最多の257万1037人(前年同期比26万8450人増)に達したと発表した。人手不足を背景に、企業が積極的に外国人労働者を採用していることが要因とみられ、最多更新は13年連続となった。(略)
在留資格別でみると、一定の専門性や技能のある「特定技能」を含む「専門的・技術的分野の在留資格」が最も多く、86万5588人。永住者などの「身分に基づく在留資格」が64万5590人、技術指導を目的とした「技能実習」が49万9394人などとなった。(略)
②経団連の考え 「転換期における外国人政策のあり方」
日本経済団体連合会
(略)2.ビジョン実現に向けた3原則の順守
上記のビジョンを実現するためには、政府はじめ関係各所が様々な政策・取り組みを検討・展開するうえで、以下の3原則を順守することが重要となる#2(図表1)。
一つ目は、「受入」から「戦略的誘致」への発想の転換である。外国人の受入れは、日本のあるべき社会像を見据え、求める人材のターゲットを明確に定め、地域の受入れ環境を踏まえ、質と人数の両面で十分にコントロールされた秩序あるものとしなければならない。(略)
③外国人雇用を進める時のポイントを解説!特定技能制度や助成金についても紹介
三井住友海上 MSコンパス 2026年2月16日
(略)外国人雇用の4つのメリット
企業が外国人雇用に取り組む主なメリットとして、以下の4つの点が挙げられます。
1.人手不足の解消につながる
2.採用コストの最適化や助成金の活用につながる
3.訪日外国人への多言語対応につながる
4.海外進出への足がかりにつながる
(略)外国人雇用に活用できる助成金の種類
外国人雇用を行う事業主を支援するための助成金制度も用意されています。要件を満たせばコスト負担を軽減できる(略)
①人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
この助成金は、外国人労働者が働きやすい職場環境を整備した事業主に対して支給されます。(略)
②キャリアアップ助成金
非正規雇用の労働者を正規雇用に転換したり、処遇改善を行ったりする場合に活用できる助成金です。外国人労働者であっても、要件を満たせば対象となります。
特に「正社員化コース」では、有期雇用の外国人を正規雇用労働者に転換した場合、1人あたり最大80万円の助成が受けられるケースがあります。優秀な外国人材を長く雇用したい場合に活用できる制度です。(略)
③人材開発支援助成金
雇用する外国人労働者に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練を実施した場合に利用できます。Off-JT(座学等の職場外訓練)やOJT(実務を通じた訓練)を行った際に、訓練にかかった経費や訓練期間中に支払った賃金の一部が助成されます。(略)
④外国人就労に関する助成金について
【厚生労働省:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)】
外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成するものです。(略)
受給要件をすべて満たした場合に、1制度導入につき20万円(上限80万円)が支給されます。
※事業主から外部の機関又は専門家等(以下「外部機関等」という)に委託した場合は、支払が完了した以下の経費等が支給対象経費として考えられます。(略)
介護分野の国家資格「介護福祉士」について、国などが指定する養成施設を卒業すれば、国家試験に不合格でも取得できる「特例措置」の適用者が2017年度以降、外国人を中心に8000人を超えた。介護現場の人手不足を背景に、言葉の問題などで試験の合格率が低い外国人が働けるようにするための措置だが、国家資格の価値を損ねるとの声も強く、継続するかどうかで意見が割れている。(略)
23年度までの7年間に養成施設を卒業した外国人留学生8346人のうち、卒業時に国家試験に合格したのは3284人。残る5000人超が特例措置の適用を受ける対象だった。(略)
⑥私立大で外国人留学生が定員の「3割超」10校・「1割以上」68校、最多は大阪の大学で7割に上る…読売新聞調査
読売新聞オンライン 2026/04/20
日本で学びたい留学生と、定員を満たしたい大学の思惑が一致し、小・中規模の私立大で留学生が増えている。読売新聞の調査によると、全国の私立大で2024年度、学位取得を目指す留学生が収容定員の3割を超える大学は10校、1割以上は68校あった。(略)
同事業団の調査では、全国の私立大の5割超で25年度、入学者数が定員に満たなかった。
⇒まとめ
経済界の要望を踏まえ、技能実習生や特定技能制度などが整備され、これに伴い外国人労働者が増え、人手不足の企業・業界が積極的に雇用しています。
外国人雇用においてはその為の助成金があり、それだけでなく日本人の同様の支援制度も利用できるものとなっています。また合格率が低い外国人が働けるように介護福祉士では不合格でも取得できる特例措置が適用されています。このことについては外国人優遇という指摘もあります。
また定員を満たすために留学生を増やしている大学も多々あります。
3.外国人労働者等について(参考)
①日本で働くベトナム人の貯金術 〜母国への仕送りと自己投資の両立〜
RIVERTY TRAIN 2025/4/15
日本で働く外国人技能実習生や特定技能人材として来日されている方々にとって、貯金と仕送りの両立は切実な課題ではないでしょうか。特に、多くのアジア圏からの労働者の方々は、自身の将来のための貯蓄と、母国の家族を支えるための仕送りという二つの責任を背負っています。(略)
実際に東京都内の製造業で働くグエンさん(28歳)の家計簿を見せていただきました。月収は手取りで約21万円。この中から、毎月7万円を家族への仕送りに充てています。ハノイに住む両親と弟の学費の一部を支援するためです。(略)
②技能実習制度はなぜ「人身取引」なのか? 制度の「廃止」が議論されている背景とは
Yhaooニュース 今野晴貴 雇用・労働政策研究者 2023/4/11
(略)技能実習生たちは母国の送り出し機関(ブローカー)に多額の借金をして来日するが、その借金は違法であるにもかかわらず、日本政府はほとんど取り締まっていない。そのため、技能実習生の多くは、日本に来る際にすでに50万円~100万円近い借金を負って来日している。
この点に関して、昨年法務省はベトナムや中国、カンボジアなど6カ国出身の技能実習生約2000人から聞き取りを行っており、来日にかかった費用とその内訳、その調達方法を明らかにした。(略)
③中国富裕層が担い手に、斜陽の国内温泉旅館-外国人所有が4割へ
Bloomberg 萩原ゆき 2023年5月15日
(略)少子高齢化による働き手不足や経営者の高齢化、施設の老朽化などが重なり温泉旅館の廃業が相次いでいる。この担い手として台頭しつつあるのが中国富裕層だ。新型コロナウイルス禍で経営が悪化して積極的な銀行融資が見込めない中、相場の倍近い高値もいとわない中国資本が売却先として魅力を増している。(略)
学習院大学経済学部の渡辺真理子教授は、中国共産党が学習塾の非営利化を進めるなど教育への介入を始めたことで富裕層が投資だけでなく移住を視野に入れ始めたと指摘する。在留資格を得ることで国外で子供の教育機会が得られるためだ。
中国から日本への移住では、「経営管理ビザ」や「高度専門職ビザ」の在留資格の取得や相談が増えている。継続的に安定した事業を行うことが要件のため、旅館の買収と経営をセットで検討するケースも増えている。(略)
④中国人は「高1レベルの試験」を使って東大に合格している…日本に押し寄せる外国人留学生の「知られざる目的」
PRESIDENT Online 九戸山 昌信 2025/12/24
日本が受け入れる留学生の数は33万6708人となり、過去最多を更新した(日本学生支援機構まとめ)。外国人問題を取材するライターの九戸山昌信さんは「留学生の53%は日本国内に就職し、そのうち82%は高度人材向けの在留資格「技人国」(技術・人文知識・国際業務)だ。本来、こうした在留資格は国益に適う人材の活躍が目的だったが、現実には外国人の『ライフハック』として利用されるケースも多い」という(略)
⇒まとめ
在留外国人は様々な事情を抱えています。
Ⅲ 外国人政策等の法整備について
政府において外国人政策がどう整備されてきたのか。幾つかの記事等を紹介します。
EN-ICHI編集部 2026年1月16日
日本は戦後長らく「移民政策はとらない」「いわゆる単純労働者の受入れには慎重」という原則を掲げてきました。しかし1990年代以降、少子高齢化と労働力不足が構造化する中で、制度は段階的に拡充され、現在では就労・定住・共生を前提とした政策領域へと拡大しつつあります。本稿では、主要な法制度の改正・新制度の創設を軸に、外国人受入れ政策の変遷を時系列で整理し、背景と社会的影響、そして現在地を概観します。
・1950〜60年代:「移民政策はとらない」原則の確立
・1970〜80年代:難民受入れの制度化と外国人労働者「実質的受入れ」の始動
・1990年代:入管法大改正と「本格的受入れ」への移行
・2000年代:定住外国人社会の拡大と管理・共生の整備
・2010年代:高度人材・新分野開放と「移民政策」への転換点
・2020年代:制度拡充・再編と現在地―特定技能の拡大/技能実習廃止/難民制度改正―
・2025年以降:秩序ある共生へ—受入れと規律の両立が焦点
・結び:日本は「移民社会」とどう向き合うか
(略)
最大の制度転換は2019年の「特定技能制度」創設でした。外食、介護、建設、農業等の人手不足分野で、一定の技能試験・日本語能力を条件に、特定技能1号として最長5年の就労を認めました。さらに熟練人材向けの特定技能2号は、在留更新無期限・家族帯同可とされ、当初は2分野に限定されていましたが後に拡大へ向いました。(略)
2.「移民の受け入れか、女性の労働力か」現実を見据えた政策を
wedge online 2013年11月6日
(略)民主党政権下では、外国人へのポイント制度が2012年5月7日から導入、実施された。経済成長や新たな需要と雇用の創造への貢献が期待される高度な能力や資質を有する外国人の受け入れを促進することが目的となっており、ポイントの合計が一定点数に達した者を「高度人材外国人」とし、出入国管理上の優遇措置が与えられる。(略)
優遇措置には、複合的な在留活動の許容、5年の在留期間の付与、在留手続きの優先処理、高度人材の配偶者の就労、一定の条件下での高度人材の親の帯同の許容、一定の条件下での高度人材に雇用される家事使用人の許容となっている。こういった「高度人材ポイント制」は英語ではpoints‐based preferential immigration treatment for highly skilled professionalsと訳され、移民=immigrationという言葉が使われている。しかし、日本語ではあくまでも「高度人材」であって移民という言葉は入れられていない。(略)
日本経済新聞 2018年6月5日
安倍晋三首相は5日の経済財政諮問会議で外国人労働者の受け入れ拡大を表明した。人手不足が深刻な建設や農業、介護など5業種を対象に2019年4月に新たな在留資格を設ける。原則認めていなかった単純労働に門戸を開き、25年までに50万人超の就業を目指す。(略)
日本経済新聞 2018年11月2日
政府は2日、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定した。人手不足の分野で一定の技能を持つ人を対象に新たな在留資格「特定技能」を来年4月に創設する。経済界の要望に応じ、これまで認めてこなかった単純労働受け入れにカジを切った。日本の入国管理政策の大きな転換で、政府与党は今国会での成立をめざす。
朝日新聞 2018年11月28日
外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改正案は27日夜、衆院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。立憲民主党などは反対した。与党は、28日に参院で審議入りする構えだ。
本会議に先立ち開かれた衆院法務委員会では、与党が野党の反対を押し切って採決を強行。
(略)
法務省
平成30年12月8日、第197回国会(臨時会)において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、同月14日に公布されました(平成30年法律第102号)。
特定技能2号ではその外国人の配偶者及び子に対し在留資格を付与することを可能とする規定の整備が盛り込まれました。
7.留学生受け入れ40万人、海外派遣50万人 政府33年目標
日本経済新聞 2023年3月17日
岸田文雄首相は17日の政府の教育未来創造会議で、2033年までの留学生に関する目標を示した。外国人留学生を40万人受け入れ、日本人留学生を50万人送り出すと掲げた。政府が23年4月に策定する新たな留学生計画に盛り込む。(略)
留学生の受け入れの意義は途上国の人材育成への貢献から、日本の少子化の進行に伴う人材確保の側面が強くなってきた。(略)
8.外国人技能実習を廃止し「育成就労」制度創設へ、関連法案を閣議決定…人手不足補う目的を明確化
読売新聞オンライン 2024/03/15
政府は15日午前、外国人技能実習制度を廃止し、新たに外国人材の確保を目的とした「育成就労」制度を創設する出入国管理・難民認定法などの改正案を閣議決定した。3年間で一定の技能水準に育成し、在留資格「特定技能」への移行を促すことで長期的な就労につなげる狙いがある。(略)
1993年に始まった技能実習では、発展途上国に技術を伝える「国際貢献」を建前としていたが、育成就労では「人材の確保と育成」を両輪に掲げ、人手不足を補う目的を明確化した。
本人の意向で職場を変える「転籍」(転職)は、原則として禁じられているが、1~2年働けば同じ業種での転職を認める。(略)
厚生労働省
技能実習制度を発展的に解消し、新たに人材育成と人材確保を目的とした「育成就労制度」を創設すること等を盛り込んだ、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)を、令和6年6月21日に公布しました。(一部規定を除き、施行日は令和9年4月1日。)また、令和7年9月30日に関係省令・告示、同年10月1日に関係政令を公布しました。
日本で起業する外国人の在留資格「経営・管理」について、法務省は10日、資本金を現行の6倍の3000万円以上とするなど、要件を厳格化した改正省令を公布した。日本語能力や経営経験、常勤職員の雇用も要件に追加され、16日に施行される。
改正省令では、これまでの要件の資本金・出資総額500万円以上を3000万円以上に引き上げた。日本語能力の要件も新たに加え、本人もしくは会社の常勤職員に対し、国際基準で中上級者にあたる「B2」以上の能力を求める。常勤職員が日本人でない場合、ビジネス日本語能力テストで400点以上の点数などが必要となる。(略)
総務省
1990年代以降、外国人住民数が急激に増加し、平成17年末には在留外国人数が10年前の約1.5倍となる約190万人となり、今後更なる増加も予想されたことから、外国人住民施策が全国的な課題となりつつありました。
そのため、総務省では、国籍などの異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていく、「地域における多文化共生」を地域の国際化の第3の柱として推進するため、平成18年に、地方公共団体における多文化共生の推進に係る指針・計画の策定に資するよう「地域における多文化共生推進プラン」を策定し、多くの地方公共団体においてこのプランをモデルに多文化共生の指針・計画が策定され、地域における多文化共生施策が推進されてきました。(略)
近年、外国人住民の更なる増加や多国籍化、在留資格「特定技能」の創設、多様性・包摂性のある社会実現の動き、デジタル化の進展、気象災害の激甚化等、多文化共生施策を取り巻く社会経済情勢は大きく変化しています。こうした中、政府においては、平成30年に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめるなど、外国人の受入れと共生社会づくりに政府全体で取組を進めています。(略)
⇒まとめ
政府による外国人政策は「移民を受け入れない」から少子高齢化と労働力不足に伴い順次、外国人労働者を受け入れる制度が整備されていきました。留学生も人材確保の色が強くなっています。
最近の「育成就労制度」では人材不足を補うことと目的を明確化しました。また外国人労働者等の増加による在留外国人の増加に合わせて多文化共生の推進が行われています。
Ⅳ 治安問題・軋轢等について
在留外国人が増加する中で、外国人犯罪の増加や地域コミュニティでの摩擦・軋轢などの課題も生じてきています。それらに関する記事等を紹介します。
1.来日外国人による犯罪、3年連続で増加 ベトナムが最多 海外に指示役、組織的窃盗も
産経新聞 2026/4/2
令和7年の来日外国人(永住者などを除く)による犯罪の摘発が2万5480件(前年比16・9%増)、1万2777人(同5・0%増)となり、いずれも3年連続で増加したことが2日、警察庁のまとめで分かった。(略)
外国人による刑法犯の検挙件数は、平成17年(4万3,622件)をピークに18年からは減少傾向にあったが、令和5年は前年より2,594件増加し、1万5,541件(前年比20.0%増)であった。また、外国人による刑法犯の検挙人員は、平成11年から増加し、17年に1万4,786人を記録した後、18年からは減少傾向にあったが、令和5年は前年より増加し、9,726人(同11.8%増)であった(4-9-2-1図CD-ROM参照)。同年における刑法犯検挙人員総数(18万3,269人)に占める外国人の比率は、5.3%であった(警察庁の統計による。)。
4-9-2-1図は、外国人による刑法犯の検挙件数及び検挙人員の推移(平成元年以降)を、来日外国人とその他の外国人の別に見たものである。来日外国人による刑法犯の検挙件数は、5年からその他の外国人を上回って、17年(3万3,037件)のピーク後に減少し続け、29年に一旦増加に転じたものの、30年から再び減少傾向にあったが、令和5年は前年より1,492件増加し、1万40件(同17.5%増)であった。来日外国人による刑法犯の検挙人員は、平成16年(8,898人)をピークに24年まで減少傾向にあったが、25年からは増減を繰り返しており、令和5年は5,735人(同14.4%増)であった。
3.病院でクルド人「100人」騒ぎ、救急受け入れ5時間半停止 埼玉・川口
産経新聞 2023/7/30
埼玉県川口市で今月初め、トルコの少数民族クルド人ら約100人が病院周辺に殺到、県警機動隊が出動する騒ぎとなり、救急の受け入れが約5時間半にわたってストップしていたことが30日分かった。同市は全国で最も外国人住民の多い自治体で、クルド人の国内最大の集住地。現在国内には約314万の外国人が住んでおり、うち約7万人は不法滞在とされる。同市では近年、クルド人と地域住民との軋轢(あつれき)が表面化している。(略)
トルコ国籍のクルド人の多くは祖国での差別や迫害などを理由に日本で難民申請しているが、認定された人はほとんどおらず、不法滞在の状態が続いている人も少なくないという。(略)
4.日本はビザ発給基準がゆるすぎる⁉中国で『経営・管理ビザ』悪用か 国会でも問題視「高額医療が“タダ同然”と宣伝されている」
YTVNEWS 2025年7月20日
(略)石破首相は「民泊経営を口実に、経営管理の在留資格を取得し、我が国に移住する者が増えているという指摘がある」として、日本への入国を希望する外国人用の『経営・管理ビザ』の現状を問題視しています。(略)
会社を作る目的ではなく、“子どもを日本の学校に入れたい”とか“日本の医療を受けたい”という目的で、名目上、日本で会社をやっているとカモフラージュして、ビザを取得するという使われ方をしているんです(略)
5.特区民泊95%、突出の大阪市で顕在化する「制度の欠陥」 新築マンション全室計画の波紋
産経新聞 2025/6/21
国家戦略特別区域法に基づく民泊施設(特区民泊)の制度が摩擦を生んでいる。大都市かつ観光地でもある大阪市が認定する特区民泊の件数は国内全体の95%と突出し、周辺住民からの苦情も少なくない。大阪市此花区で200室以上ある新築マンションを一棟丸ごと特区民泊として運営する計画には、認定前から一部で反対の声が噴出。制度の「穴」が顕在化する中、不安を解消できるか。(略)
6.【特集】暴力・長時間労働・失踪も…トラブル相次ぐ技能実習制度 増え続ける外国人労働者と日本社会の課題とは
YTVNEWS 2026年4月12日
日本で働く外国人労働者の数は年々増え続け、技能実習生などの国内の外国人労働者の数は2025年、過去最多となりました。しかし、彼らを取り巻くのは深刻な環境です。安価での長時間労働や、パワハラなどによるトラブルが後を絶ちません。結果、犯罪に巻き込まれてしまうケースも…。(略)
7.失踪者6500人、6割はベトナム 国際貢献掲げた技能実習 「勝手口」から労働力に
産経新聞 2026年1月2日
平成5年に始まった技能実習制度は、発展途上国に対し「人材育成による国際貢献」を目的としたが、実際は安い労働力確保の手段とされ、劣悪な労働環境や長時間労働などが問題化した。よりよい待遇を求めて実習先から逃亡するケースが後を絶たず、出入国在留管理庁によると令和6年の失踪者は6510人に上った。このうち約6割に当たる3865人はベトナム人だった。
また警察庁によると、6年の来日外国人犯罪の摘発2万1794件のうち、ベトナム人が全体の約45%を占める。凶悪犯に限るとおよそ2割で、いずれも国籍別で最多。国籍別は長く中国が最多だったが、平成29年にベトナムが上回った。(略)
8.〈14体もの遺体を重機で勝手に土葬〉…在日イスラム教徒による「闇土葬」に霊園管理者が「怒りの告発」
週刊現代 2025.10.01
いまや日本に住むイスラム教徒は34万人にも達すると言われるが、移民人口の増加とともに深刻な問題となっているのが、「墓不足」だ。
全国で土葬可能な墓地はわずか10ヵ所ほど……そのため、各地で「闇土葬」とも言える違法埋葬が発生し、深刻化しつつあるのだ。(略)
大分県日出町では、イスラム教徒の団体が町有地に土葬墓地を建設する計画が始まるが、水質汚染などの問題を懸念した地元住民から反対の声が上がり、去年9月に中止となった。(略)
9.北海道江別市にいつのまにか《違法パキスタン村》が…問題提起の人物は「無許可でモスクを建てる彼らが理解できない」
週刊現代 櫛田泉 2025.11.20
(略)江別市は、人口11万7000人ほどの札幌市のベッドタウンだ。中古車販売業を営むパキスタン人が多い同市の角山地区は、礼拝所(モスク)や中古車ヤードなどの違法建築が確認されたことから、9月中旬以降YouTuberなどの動画配信者などが多く訪れるようになり、この問題が広く拡散されている。(略)
とはいえ、「市街化調整区域での違法建築は日本人も行っており、パキスタン人だけを責めるのは筋違いではないか?」といった指摘もある。
これに対して管理者は、「日本語が通じない彼らは注意を理解できない。そんな状態のまま無許可でモスクを建ててしまうパキスタン人を日本人と同じようにみることができますか?」と疑問を呈した。(略)
10.性善説に基づく出産一時金42万円等 健康保険を外国人が乱用
NEWSポストセブン 2017.12.01
(略)要するに、この問題の本質は、外国人を日本人と同じように扱い、緩い基準で健康保険に加入させて恩恵を与えている点にある。前出の小坂区議はこう憤る。
「日本の健康保険は、若い頃に高額な保険料を負担させられ、高齢になってようやく元が取れるシステムです。
ところが、外国人の場合、本国でどれだけ高収入を得ていても、日本で無収入なら保険料は最低額で月何千円しか払わない。数年で国に帰るような人に出産育児一時金をあげたり、高額医療を格安で受けさせたりするのはおかしい」
日本の国民医療費は42兆円に達し、保険料だけでは足りず税金が投入されている。外国人に大盤振る舞いする余裕があるのかということだ。(略)
11.3カ月で「保険使い放題」の衝撃。数千万円の高額治療も……外国人への甘すぎる医療制度の正体
livedoorニュース 2026年4月15日
なぜ外国人は「わずか3カ月の滞在で、数千万円もの高額治療が受けられる」のでしょう。善意で成り立つ日本の医療制度が、今まさに崩壊の危機に瀕している理由とは?(略)
3カ月滞在で「保険使い放題」
2025年2月、国民民主党の玉木雄一郎代表は「外国人がわずか90日の滞在で数千万円相当の高額療養を受けられるのはおかしい」と言及し、制度の見直しを提言した。
この背景には、日本の国民健康保険制度における外国人加入要件の異常な緩さがある。この問題の原点は2012年、民主党政権下での制度変更にある。(略)
⇒まとめ
来日外国人犯罪は3年連続で増加しています。また地域住民を不安に陥れる事態も生じています。
技能実習制度での失踪者も多数であり、不法滞在はそれ自体が違法行為であると同時に他の窃盗等の多重犯罪を招きかねないと指摘されています。
宗教上の摩擦も生じています。
国内において移民コミュニティができ違法行為が行われているところがあります。
その他、制度の隙を突いた移民や国民健康保険制度への負担増加も指摘されています。
Ⅴ 移民政策の議論・先進事例等について
●移民
国際移民の正式な法的定義はありませんが、多くの専門家は、移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を国際移民とみなすことに同意しています。3カ月から12カ月間の移動を短期的または一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼んで区別するのが一般的です。
【引用:国際連合広報センター 難民と移民の定義 2016年12月13日】
【国民・議論不在の移民政策について】
ここまででお気付きになったことと思いますが、上記「移民」の定義を踏まえ、定住国を変更した方々は日本に多数おられるという事、即ち日本は移民大国といえます。
ただ、移民を受け入れているという実感は国民に果たしてあるのでしょうか。その事を指摘した記事等を幾つか紹介します。
1.永住型は先進国10位...日本人が知らない「ニッポンの移民政策」の事実
Newsweek日本版 2026年1月16日
(略)
社会的なレベルでの「移民政策の不在」と呼ぶべき
「一時滞在型移民」にしても同じで、日本は研修生、企業内転勤、留学生の受け入れが特に大きい。言うまでもなく、研修生に該当するのは技能実習生だ。
企業内転勤も多い。日本は先進国中、第5位の受け入れ規模を示し、その数は2023年で年間8443人だ。企業内転勤者は、高度人材の典型とも言える人たちである。そうしたハイスキル外国人の受け入れにおいて、日本は国際的に見ても高い水準にあるということだ。
また、日本が多数の留学生を受け入れていることも見逃すべきではない。日本の高等教育機関における留学生の受け入れ規模は2023年で約14万人。OECD全体の留学生受け入れ数の6.6%で、英国、米国、カナダ、オーストラリアに次いで第5位となっている。これは非英語圏の先進国としては最大の受け入れ規模だそうだ。
このように、日本の移民受け入れの実態は、漠然としたイメージとは大きくかけ離れているのである。
日本ではしばしば、「移民政策の不在」が指摘されてきた。しかしそれは制度レベルでの移民政策の不在だけではなく、その前提となる集合意識など社会的なレベルでの移民政策の不在と呼ぶべきだと著者は述べる。
(略)
Meiji net 根橋 玲子明治大学 情報コミュニケーション学部 教授 2023.09.20
(略)2008年に政府が打ち出した「留学生30万人計画」では、学生生活を支える支援制度の整備のみならず、卒業・修了後には高度外国人材として日本で就職し、定住を促す視座を提示しました。
たしかに、これによって海外からの留学生は急増しましたが、実態としては、日本の経済界が望む安価な労働力確保の手段となっていった面は否定できません。
この留学生30万人計画のように、就労目的以外で入国させて実質的には労働者として扱うのは、正面玄関を通らないという意味において「移民のサイドドア」と呼べるでしょう。(略)
特定技能は2019年に新設された在留資格で、介護やビルクリーニングなど人手不足とされる業種への外国人の就労を促しています。1号は在留期間が5年で家族の帯同はできませんが、より熟練技能が求められる2号になると在留期間の更新上限がなく家族帯同も認められます。つまり、条件を満たせば半永久的に日本にいられるという仕組みです。
技能実習から特定技能へのシフトから垣間見えるのは、海外から人材をより広く受け入れ、比較的長い期間日本で働いてもらい、条件を満たせば永住権を与えるという日本政府の基本的な考えです。政府は「移民」ではないと強調しますが、事実上の移民政策の一種であることは明らかです。(略)
私には、日本政府の「外国人政策」では労働力の担保ばかりが要請されていて、実際に彼・彼女たちが生活する場面、つまりコミュニティにおける外国人の現実的課題の解決や、日本社会における様々な困難の解消といった議論が、すっぽりと抜け落ちているように感じられます。(略)
3.なぜ移民問題はこれほど重大な政治課題になったのか ◆「極右」台頭の背景(上智大学教授・岡部みどり)
JIJI.COM 2025年02月04日
(略)なぜ今、移民問題がこれほど重要視されるのか。「極右」や「ポピュリスト」と称される勢力が欧米諸国で支持を集めているが、これは単純に欧米社会が排他的な、また人種差別的な世界になっているということなのだろうか。背景を冷静に分析する必要が生じている。(略)
移民受け入れは「普通の労働者」にとっての利益にはつながらない。キューバ系移民でハーバード大学の経済学者であるジョージ・ボージャスは、「国境の開放による移民の急増は必然的に富の大きな再分配をもたらすが、その内容は見落とされがちである」と指摘し、移民を受け入れた資本家と移民自身には利益がもたらされる一方、移民を受け入れた国の労働者には負の影響があると述べる。(略)
筆者が最も深刻だと考えるのは、移民(外国人)の流入がもたらす負の影響について、知識人や政治家、政策担当者が長らく目を背けてきた点である。これまで欧米でも日本でも、「外国人は受け入れ社会にポジティブな影響をもたらす」という主張のみが、いわば「市民権」を得てきた。しかし、外部からの負の影響も当然想定されるにもかかわらず、それを指摘する学者の意見は感情的に批判されるか、無視されるのが常であった。(略)
現行の政策や戦略によって不利益を被る受け入れ国の一般労働者を救い、受け入れ社会の発展を促す策を新たに講じることこそが、今の日本に必要だと考える。
⇒まとめ
政府は外国人労働者の受け入れについて「移民」ではないと強調しますが、事実上の移民政策であると指摘されています。
移民問題の議論のないままに受け入れをすすめている現状があります。ステルス移民政策ともいえるのではないでしょうか。Ⅲの外国人政策の制度等においても「移民」という言葉は使われていません。
そして移民の負の影響を無視してきた結果、様々な困難が顕在化して社会問題になってきている現状があります。
まさに国民・議論不在の移民政策といえます。
【移民を受け入れた諸外国の現状について】
移民を受け入れた国においてはどうなっているのでしょうか。先進事例の記事を幾つか紹介します。
4.移民を受け入れた国の末路……日本でも同じことが起こるかもしれない
DIAMOND online 2025年8月9日
ドイツの移民問題とは?
第二次世界大戦後、ドイツは労働力不足を補うため、イタリアやトルコなど周辺国と外国人労働者受け入れ協定を結び、「ガストアルバイター(客人労働者)」を多数受け入れました。当初は短期滞在を想定していましたが、実際には多くが長期滞在し家族も呼び寄せ定住しました。
企業は低賃金で高負荷な業務を担う彼らを重宝しましたが、言語教育や社会統合などの制度整備は不十分でした。その結果、待遇格差や差別、社会的分断が深刻化。さらに、安価な労働力に依存したことで企業の構造転換も進まず、労働者自身も老後の貧困リスクを抱えることに。
こうした問題が積み重なり、ドイツ国内ではやがて「ガストアルバイターが多すぎるのではないか」「宗教が違う移民が文化を変えてしまう」などの不満が噴出しました。一時的には外国人労働者が企業利益を高める存在だったにもかかわらず、制度が追いつかないまま社会に深く根づいたことで、逆に排他感情を招く矛盾が見えてきたのです。(略)
5.「英語を話せない移民」を受け入れたら大失敗…爆増する生活保護費に苦しむイギリスの後悔
PRESIDENT Online 谷本 真由美 2025/12/09
イギリスが移民政策の見直しを迫られている。(略)
労働党政権が発表した「移民白書」が驚かれたのは、なんと「低技能移民の流入が労働市場を歪める可能性が高く、移民のバランスと構成が極めて重要である」と述べ、イギリス政府が近年の移民政策の失敗を「公式」に認めたことです。(略)
6.「フランスはもうフランスでなくなった…」 ルーヴル盗難事件が映す外国人問題の先行事例《引き返せない地点》のリアル
東洋経済ONLINE 安部 雅延 : 国際ジャーナリスト(フランス在住)2025/11/10
(略)日本の総人口に対する外国人居住者の割合は3%程度。フランスの770万人(総人口の11.3%)と比べると、絶対数も総人口に対する比率も低い。そのフランスに住んで30年以上、欧州各地を取材してきた者として、ヨーロッパの移民問題はどのような変遷を経て、現状がどうなっているのか、現地の声を紹介したい。(略)
今年10月にフランスのルーヴル美術館から総額約8800万ユーロ(約156億円)相当の宝石8点が盗まれたことは記憶に新しい。その後、捜査当局に最初に身柄を拘束された2人の容疑者は、パリ郊外のセーヌ・サン・ドニの移民地区に住む北アフリカ・アルジェリア移民の男と、アルジェリアに帰国途中のアルジェリア国籍者だった。
当局はこの事件について犯罪組織による犯行ではなく、逮捕・起訴された計4人は同じ移民貧困地区に暮らす移民系の人物で、軽犯罪常習犯の犯行との見方を強めている。プロではない移民系のギャンググループがルーヴルを狙うという大胆な犯行に及んだことは、この国における移民問題の深刻さを浮き彫りにした。(略)
「人手不足を補うための移民」という考え方は、10%前後の高い失業率が長年続いたことに対する解決策にはなっておらず、右派でも左派でも議論が白熱している。(略)
アジア経済研究所 IDEスクエア 海外研究員レポート 明日山 陽子 2007年9月
移民の国、アメリカ。1776年の建国以来、大量かつ多様な移民が米国経済・社会の繁栄を支えてきた。(略)
移民受け入れは、米国経済・社会にどのようなインパクトを与えるのか。以下、①移民と労働市場で競合する米国人労働者への影響、②米国経済・社会全体への影響について、主にハーバード大学の労働経済学者で移民の経済分析に詳しいGeorge J. Borjas教授の分析を中心に紹介したい。(略)
移民と労働市場で競合関係(代替関係)にある労働者は、移民の増加によって、賃金の低下や就労機会の削減、その結果としての犯罪率の増加などといたマイナスの影響を受けることが推測できる。(略)
移民の低賃金労働による製品価格低下の恩恵を受ける消費者、少なくとも短期的には低賃金労働の活用で利益増の恩恵を受ける雇用主などは、移民の増加によってプラスの影響を受ける。(略)
移民が米国経済に与えるネットの影響はプラス300億ドル程度であることに賛意を表明した上で、①300億ドルというネットのプラスの効果の裏には、GDPの2.7%にあたる 3,500 億ドルもの米国人労働者の雇用所得低下があること(ただし、雇用主にとってはプラスの効果がある:“移民余剰”300 億ドル+米国人労働者の雇用所得低下3,500億ドル=雇用主の利益増加)、②300億ドルのプラスの効果はあくまで短期的なもので、長期的には移民増加によるプラス・マイナスの効果ともゼロになること、③300億ドルのプラスの効果から公的サービスの提供コストなど財政的な損失を控除する必要があること、④米国人労働者の雇用所得の低下が大きいほど、移民のネットのプラスの経済効果が大きくなるという皮肉な関係にあること、に留意すべきであるとしている。(略)
●参考論文:労働力を呼んだのに、やって来たのは 人間だった ー拡大する格差と衰退する共同体̶ー
「先進国における移民推進は、自国民にとっては経済成長政策ではなく、格差を拡大する方向にパイの分け前を変える、所得再分配政策なのである。」
8.トランプ再来の米国は「移民の国」から降りるのか 問われる市民社会
朝日新聞 2024年12月2日
アメリカ合衆国は、「移民の国(a nation of immigrants)」を自認してきた。かつてジョン・F・ケネディが「すべてのアメリカ人は移民かその子孫である」と語ったように、アメリカは、国外からやってくる移民を国の成り立ちの根幹に位置づけ、自国の経済成長や文化発展の源としてきた。「移民の国」とは、単に移民の数が多いというだけでなく、「アメリカ(人)とは何か」を特徴づけるナショナル・アイデンティティーの一部となっている。
2024年のアメリカ大統領選挙で「移民問題」は、「経済」「民主主義」「人工妊娠中絶」と並ぶ重要争点の一つに挙げられた。とくに、正規の資格を持たないままアメリカに滞在する非正規移民(*)をめぐる問題をどう解決するのか。共和党ドナルド・トランプと民主党カマラ・ハリスの両候補に問いかけられたのは、選挙における政策論争だけでなく、今後もアメリカは「移民の国」であり続けるのかという、より根源的な問題であった。(略)
この大統領選は、トランプの勝利に終わった。「ワシントン・ポスト」の出口調査によれば、投票の際に「移民」を「最も重要なイシュー」とした有権者(全体の11%)の90%がトランプを支持した。
9.移民の財政上の貢献「出身地で差」「第2世代は下がる」 論争呼ぶオランダ発の論文
産経新聞 2026/1/21
(略)欧州有数の移民大国であるオランダで、移民が同国の財政にどう貢献しているかをテーマにしたある論文が論争を呼んでいるという。(略)
オランダで移民の研究を進めているヤン・ファン・デ・ベーク博士らのグループが2024年末に発表したものだ。(略)
オランダへの移民第1世代を出身地別に検討した結果、フランスや英国、北欧、北米、日本など、いわゆる西側諸国からの移民は、オランダへの貢献が1人当たり約21万ユーロ(現在のレートで約3870万円)プラスに。日本などの場合は、もともとの自国民の平均より貢献しているとの結果が出た。逆に、南アフリカをのぞくアフリカや中東からの移民は、貢献がマイナスとなった。
一方、移民第2世代になると、出身地を問わずに貢献は低下。第1世代ではプラスだった西欧や北欧などの第2世代はプラス幅が大幅に縮小。アフリカや中東は、マイナスのままだった。(略)
●関連リンク:note オランダにおける移民の長期的な財政的影響:移住動機、出身地域、世代別の分析(6)
●論文:IZA 動機、出身地域、世代によるオランダにおける移民の長期的な財政的影響
⇒まとめ
欧米諸国の現状は、企業の構造転換の遅れ、社会的分断、移民2世の犯罪の増加、増大する社会保障費など移民政策の失敗であると指摘されています。
また移民と労働市場で競合関係(代替関係)にある労働者は、移民の増加によって、賃金の低下や就労機会の削減が指摘されており、移民の国であるアメリカですら、移民問題が大統領選挙において重要争点となり、移民により治安並びに雇用環境が悪化していると認識する労働者方々の支持を受けたトランプ大統領が再び勝利に終わりました。
また移民の財政上の貢献についても課題が見られています。
欧米諸国の移民政策の失敗はテレビなどのマスメディアはほとんど取り上げていません。アメリカ大統領選挙でもトランプ大統領の揚げ足取りばかりでした。これらについて日本国民の目から実態をそらしているのではないでしょうか。
幸いなことに「X(旧Twitter)」などのSNSでは現地からの生の情報が入手できます。これらによって移民問題の様々な負の影響を確認することができます。
私たちは移民政策の正の影響だけでなく負の影響を直視する必要があります。
Ⅵ 移民問題における負の影響について
改めて外国人労働者の受け入れ、移民の受け入れ拡大が日本においてどのような負の影響をもたらすのでしょうか。幾つかの記事等を紹介します。
1.外国人労働者の賃金、日本人の7割 安価な労働力として活用も日本の賃金に悪影響
産経新聞 2024/9/29
日本の労働市場で外国人の存在感が急速に高まっている。空前の人手不足を背景に、企業が積極的に外国人を採用するようになり、政府も受け入れ拡大を後押ししてきたためだ。だが、その大半を占める安価な労働力としての外国人に頼り過ぎると、企業の生産性は上がらず、日本人の賃金上昇を妨げることにもなりかねない。(略)
やみくもに賃金の安い外国人労働者を増やすことは、国内全体の賃金を抑制することになりかねない。リクルートワークス研究所の坂本貴志研究員は「市場全体に与える影響を勘案しながら、外国人の働き手をどこまで受け入れるかを考える必要がある」と語る。(略)
2.韓国人熟練工が悲鳴! 外国人労働者が仕事を奪う移民政策の罠
グローバルニュースアジア 2025年10月3日
自国の国民より安い賃金で、労災などぐずぐず言わないで働いてくれる外国人労働者は、経営者からしたら喉から出るくらいほしい。だが、国の最低賃金でもいいから韓国で働きたいと言う国民は大勢いる。(略)
造船業界から韓国人が消えているのは、仕事に見合った賃金ではなく生活できないからもあるだろう。韓国に詳しい韓国人ができない仕事をもっと低賃金で外国人にやらせようという考え方は、搾取でしかない。(略)
(韓国に関する記事ですが参考に記載しました。)
3.過去10年で2.5倍に…急増する「外国人労働者」受け入れ再考の時 日本人の賃金との関係性
リクルートワークス研究所 2023年04月03日
(略)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では、日本人の賃金状況と合わせて令和元年から外国人の賃金状況も調査している。同調査によると、一般労働者に絞ってみれば、2021年の外国人労働者の年収は338万円となる。これは調査全体の489万円に対して3割ほど低くなっている。
産業別にみると、特に差が大きいのは建設業である。外国人労働者のうち建設業で働く人の年収は278万円と建設業労働者の平均賃金水準を100とすると、その比率は51.7%とおおむね半分となる。製造業も同様に292万円と製造業全体と比較するとだいぶ安い。卸・小売や医療・福祉についても明らかに安い水準となっていることがわかるだろう。(略)
ただ、こうした結果を総合的にみてみると、現状、日本の外国人労働者は日本人にはできないような仕事に熟練労働者として従事しているという感じにはみえない。それよりも、日本の各産業で不足する労働力をほてんするための非熟練労働者として来日し、安い労働力として働いているという姿がその大半なのではないだろうか。(略)
賃金は労働者の生産性に応じて決められるものであるが、それとともに労働市場の需給によって決定される側面がある。つまり、相対的に低い賃金で働く外国人労働者の流入数を増やしてしまえば、それを通じて労働市場の需給は緩み、結果的に労働市場全体の賃金上昇圧力を抑制させてしまうことになる。日本社会が賃金上昇に向けて本当に取り組むというのであれば、低賃金労働者の積極的な受け入れはやめるべきではないか。(略)
外国人の出入国をどのように管理するかは、国家主権の発動として政府がその最終的な責任を負う。しかし、今の日本の出入国管理の現状をみると、業界団体からの要望を聞き、その積み上げた人数を受け入れているというのが実態である。(略)
4-1.ヤマト運輸と個人事業主3万人の契約、労組が継続訴え…「ネコポス」やメール便を日本郵便に委託方針
読売新聞オンライン 2023/10/17
ヤマト運輸がメール便などの配送を日本郵便に委託するのに伴い、配達を委託されている個人事業主らを支援する労働組合が16日、東京都内で記者会見して契約の継続を訴えた。ヤマト運輸は個人事業主約3万人との契約を2025年3月までにすべて終了する方針を示している。(略)
4-2.ヤマト運輸がベトナム人運転手500人雇用へ 育成含め6年滞在、運転免許は外免切り替え
産経新聞 2025/11/14
ヤマト運輸は13日、令和9年から5年間でベトナム人運転手を約500人採用すると発表した。育成期間を含めて6年間、日本に滞在する。運転免許は、現地で取得した免許を日本の免許に切り替える「外免切り替え」を利用する。(略)
一方、就労期間に上限がなく、永住に道を開くとされる「特定技能2号」には現在、自動車運送業は含まれていない。ヤマト運輸は、今後制度が変更されれば就労期間が延長される可能性があるとしている。
5.「日本に連れてこられなければ…」犯罪に走った“移民2世”の苦悩と孤立
幻冬舎Plus 石井光太(作家)2025.04.19
(略)外国人労働者2世の時代
この事件に限らず、日本の刑務所や少年院には出稼ぎ労働を目的として外国からやって来た人々の子どもが一定数いる。“外国人労働者2世”である。たとえば愛知県には、主に東海地方の非行少年が送致される男子用の瀬戸少年院がある。この少年院では、長らく入所者の2割前後が外国にルーツを持つ少年となっている。全国的にもこの傾向は認められており、神奈川県の久里浜少年院には、特に日本語が不得意な少年のための通称「国際科」が設置されている。(略)
社会背景として挙げられるのが、日本の外国人受け入れ政策の根本的なゆがみだ。詳しくは後述するが、主に1980年代以降、日本は労働者不足を補うために、その時々で法律を作り変え、主にアジアや南米の開発途上国から外国人を大勢受け入れてきた。政府は正式には認めていないが、実質的な移民政策と言える。しかし、それは先進国の政策としてはあまりにずさんであり、外国人の生活や人権をほとんど無視したものだった。国際機関から「人身売買」「奴隷制度」とまで指摘されたこともあったほどだ。
その結果、日本に働きに来た外国人たちが多種多様な困難に直面し、そのしわ寄せがもっとも弱い立場の子どもたちにいったのである。これが、日本に暮らす移民2世が抱えている「闇」なのである。(略)
貧困家庭で育ち、世間から激しい差別を受け、大人になっても居場所を得られない2世たち。彼らの一部が社会への憎悪から反社会組織を結成したり、国際テロ組織に身を投じたりして、国内外の治安を脅かす出来事が起きているのだ。中でも国内で暮らす4人に1人が移民系か外国人とされるドイツは、「移民の統合に失敗した国家」とまで言われている。
現在の日本が直面しているのは、まさに数十年前から欧州諸国が直面してきたのと同じ問題なのである。(略)
6.日本語が話せない「外国籍」の子が急増中、授業がストップ、教室から脱走も…先生にも大きな負担「日本語支援」追いつかず学校大混乱の実情
東洋経済オンライン 2025/12/11
日本語指導が必要な外国籍の子どもが急増
6万9123人。これは公立の小中高校における日本語指導が必要な児童生徒の数だ。
約10年前から比べ、約1.9倍に増えたことになる。この中には海外から帰国した日本国籍の児童生徒も含まれるが、約8割は外国籍の児童生徒だ。(略)
「外国籍の生徒が増えすぎて、日本語支援員が大幅に不足しています。特に小・中学校では、まったく日本語ができないことが多く、最初はその生徒の母語で日本語を教えることになります。しかも、近年は出身国も多様化しており、日本語指導に加えてその子の母語がわかる人材というのは限られています。(略)
日本では15年に入管法が改正され、在留資格「高度専門職」の創設、「投資・経営」ビザが起業しやすい「経営・管理」ビザへ変更 (25年10月より厳格化)となったほか、在留資格「技術」と「人文知識・国際業務」を「技術・人文知識・国際業務」に一本化、小中学生にも在留資格「留学」を付与するなど、日本経済の発展に寄与する外国人の受け入れを促進するために在留資格が整備された。
(略)
「日本語支援員の給与は、市町村の税金で賄われています。仕組みや指導内容も市町村によってバラバラです。外国籍の子どもが急激に増える中、市町村も学校もなんとか対応してきました。外国籍の子どもが今ほど多くなかったときは対応できたのですが、今では対応しきれない状況になっており、早急な見直しが必要な状況です」(略)
(文科省:13. 外国人の子等の就学に関する手続について「我が国においては、外国人の子の保護者に対する就学義務はありませんが、公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、その子を日本人児童生徒と同様に無償で受け入れているところです。」)
7.「ムスリム対応の学校給食」に抗議1000件超え 誤情報がSNSで拡散、自治体は困惑
産経新聞 2025/10/12
「ムスリム(イスラム教徒)に対応した学校給食を始めた」-。北九州市で9月、給食を巡るこうした誤った情報がSNSで拡散されて抗議が殺到し、市教育委員会が否定会見を開く対応に追われた。外国人労働者の受け入れなどに伴い、在日ムスリムが増加。公立学校にも児童生徒が一定数通うが、公立学校で宗教や教義を理由とした特別な給食を提供するのは現実的に難しい。誤情報の拡散や抗議に自治体は困惑している。(略)
8.「イスラム土葬墓地、国の責任で全国に整備を」大分の自民市議団が異例要望 岩屋毅氏尽力
産経新聞 2025/11/23
大分県日出(ひじ)町のイスラム教大規模土葬墓地計画に関連し、町に隣接する杵築(きつき)市の自民党市議団が国に対し、「日本全国で国が責任を持ち、複数の地域に土葬対応可能な墓地を確保・整備すること」などと求める異例の要望書を提出した。(略)
取材に対し、阿部氏は「国策として外国人を受け入れる政策を作った以上、人生の終末もやはり国の責任で、それぞれの宗教に沿った形での墓地の整備が必要ではないか」と語った。(略)
「地方の自治体や住民にのみ負担を押しつけるのではなく、国が責任を持った制度設計を早急に行う必要がある」「早急に対応していただくよう、強く国へ要請する」としている。(略)
9.「日本で産めば強制送還されない」「困窮世帯は出産費用タダ」川口で移民の出産ラッシュが起こるワケ
DIAMOND online 三好範英: ジャーナリスト 2025年5月23日
(略)地方行政も一部の外国人による負の影響に苦しんでいる。その1つが、自治体医療における、外国人による未収金や入院助産制度利用の増加である。
未収金に関して川口市が公表しているデータは、国籍別の数字は公表していない。ただ、関係者の話を聞くと、母数が多い中国人、ベトナム人に加え、クルド人による未収金も大きな部分を占めているようだ。
「令和4年度川口市病院事業予定損益計算書」によると、医業収益185億5667万円の収入に対し、費用は189億5489万円で、3億9823万円の損失だった。入院・外来の未収金は合わせて3億9656万円だが、そのうち外国人の未収金は7471万円、18.8%を占める。
とりわけ産婦人科の診療に関わる未収金2938万円のうち、外国人の占める金額は702万円、24.0%と深刻だ。(略)
生活保護を受けていたり、無保険など困窮している世帯を対象に、自治体が出産費用を補助する「入院助産制度」の利用件数は、担当する川口市子ども部によると、2022年度は25件で、そのうち日本人13件、外国人12件だった。(略)
10.自治体の2割が出国後の外国人に児童手当誤支給の経験 マイナンバーと出国情報連携で対処
産経新聞 2026/4/20
こども家庭庁は20日の参院こども・子育て・若者活躍特別委員会で、全1741市区町村の2割で平成27年以降、住民票上の住所を日本国内にしたまま出国した外国人に対し児童手当を誤って支給した事例があったと明らかにした。(略)
黄川田仁志こども政策担当相は「一部の外国人による違法行為や不正受給、ルールからの逸脱に対し、国民が不安や不公平感を感じる状況が生じていることは事実だ。こうした行為には政府としては毅然として対応していく」と強調した。
⇒まとめ
私たちは負の影響をしっかりと直視する必要があります。上記の記事等、欧米諸国の実態を踏まえて大きく5つの負の影響が挙げられます。
①治安悪化・軋轢の可能性
これは「Ⅳ 治安問題・軋轢等について」で記載しています。
②日本人の低賃金化、企業・業界の構造改革への遅れの可能性
記事1~4において、比較的賃金の安い外国人労働者の雇用促進は、日本人労働者の低賃金化、賃金上昇を阻害する要因の可能性を指摘しています。
またⅡー2で記載した外国人雇用への助成金といった企業への税金投入は当然のこと外国人雇用を促進するものです。これらは本来あるべき日本人への待遇改善のための構造改革を結果として遅らすものです。
平易に言うと企業が賃金を上げて日本人労働者を雇うのではなく、外国からの低賃金労働者に依存するようになってしまっているという問題を引き起こしていると考えられます。
これはⅤー4~6の記事で先進事例からも明らかになっています。労働市場をゆがめている。そういう指摘がなされています。
ただし、企業だけの問題ではなく、中抜き多き業界などの構造や国の制度そのものに低賃金の根幹がある場合も指摘されています。
③移民2・3世の日本社会での孤立化の可能性
記事5~6においては、将来的に相当大きな問題になる可能性が高いと思われます。日本の学校で日本語をどこまで習得できるのか、また母国語もまた疎かになり、結果としてコミュニケーションに大きな課題が生じ孤立する移民2世・子ども達が増加することが予想され、その結果はⅤー4~6の記事で紹介した欧米諸国の二の舞になる可能性は否定できません。
今の義務教育は日本の子供たちですら不登校が増加し課題多き中で、移民の子供たちは本当に大丈夫なのでしょうか。(現教育の課題についてはブログ「自分軸で考え行動する人の育成へ。自分軸が主流となる社会へ向けて」で指摘しています。)
④文化・宗教の軋轢の可能性
記事7~8においては、宗教上の摩擦を示唆しているものと捉えられます。宗教上の争点も移民を続けその人口が増えれば増えるほどに問題化していきます。これは日本文化(伝統・価値観)と違う価値観との軋轢が生じるものです。これらについては様々な反発も予想され地域で判断できるものなど少なく、国が判断しなければならないものです。
特に多神教である日本において一神教の方々との摩擦の回避の必要性が求められます。これはⅤー4~6の記事で先進事例からも明らかになっています。
⑤自治体・地域・国民の様々な負担増大の可能性
記事6~10においては、地域への負担、自治体への様々な負担増が挙げられます。Ⅳー10~11もその一例です。
外国人労働者の受け入れに伴う負の議論が行われないまま外国人労働者が増加することは、結果として地域の負担を増大させています。
また外国人政策に係わる財源は国民の税金であり、また社会保険への影響など国民負担を増大させます、これは先進事例等からも明らかです。
移民政策が国策であるならば、政府が制度・財源など包括的に取り組む必要があります。
以上①~⑤項目を挙げました。①は一定認識されているものの、②~⑤はまだまだ周知されていません。実際、この②~⑤もまた重要項目です。これら①~⑤の移民政策での負の影響も直視して真剣に議論することが求められます。
Ⅶ 政府等の移民を巡る方向性について
政府、また自民党としては今後、移民政策をどのように進めていくのでしょうか。関連する記事等を紹介します。
Bloomberg リーディー・ガロウド 2026年1月19日
(略)変化に対する国民の不安という現実を早い段階で認識し、場当たり的になりがちな制度を正式に整えることで、欧米の多くの国で混乱を招いた移民政策の急旋回を回避できる。(略)
2.外国人政策、「共生」から「秩序」へ転換 生活保護の見直しも検討
朝日新聞 2026年1月24日
高市政権が厳格化を進める外国人政策について、政府は23日、施策の方向性を記した「総合的対応策」をまとめた。外国人の生活保護受給をめぐり、対象者の見直しを検討する方針を新たに明記した。(略)
この日の関係閣僚会議で決定した。外国人との「共生」を中心とした従来の考え方を転換し、「秩序」を共生社会の土台と位置づけた。そのうえで、日本国籍取得や永住許可の要件の厳格化、社会保険料の未納や医療費の不払いへの対応強化などを盛り込んだ。(略)
3.税金未納で「永住権」取り消しも。2027年施行の法改正と、日本の移民政策
Yahooニュース サストモ 2026/4/3
(略)永住権に関する直近の大きな変更は、2024年に「育成就労制度」の創設と同時に行われた「審査の厳格化」と「永住権取り消し」の導入だ。
育成就労制度とは、2024年に制定された外国人材の育成と確保を目的とした制度のこと。施行は2027年4月を予定している。これまでの「技能実習制度」は新興国への技術移転や国際貢献を目的としていたが、外国籍の人々を「労働者」として長期的に受け入れることを明文化した。
しかし同時に、税金や年金に少しでも未納がないかなどより厳しく審査されるようになり、「永住権の取り消し」理由も追加された。これまでも、重大な犯罪を犯した場合や虚偽申請などの場合には永住権が取り消される規定はあった。ところが2024年の法改正ではこれらに加え、「税金などの未納」といった、従来よりも軽微な項目が取り消し事由として盛り込まれたのだ。
(略)
4.日本人の給与を上げず、外国人受け入れを進める…高市早苗が衆院選で語らなかった「移民の国・日本」の道筋
PRESIDENT Online 九戸山 昌信 2026/02/13
結局、移民は増やすのか――。在留外国人をめぐる管理の厳格化や中国への強行姿勢などタカ派政策を推進した高市早苗首相が衆院選を圧勝した。しかし、選挙前から国民が注目する外国人の居住者人口が「増えるかどうか」の維新との連立合意でもある在留外国人の量的コントロール(総量規制)の方向性については、1月19日の会見や、同27日の党首討論会など、選挙期間中に他の党首が言及する中、高市首相は一切、説明しなかった。(略)
彼らの流入増加の抑制に繋がる政策は、ほぼとられてないことが分かる。高市政権が注力しているのは、外国人の増加抑制ではなく、外国人による不適切な問題の抑制である。(略)
自民党が続ける「曖昧戦略」
これまでの自民党政権は、在留外国人の増加(流入超過)という国民が心配する「状況」そのものの直視を避けていた。そして、政府が決めることができる移民という言葉の「定義」を否定し、労働目的だけ強調して、外国人を住民として受け入れる政策を正当化してきた。これは一種の“曖昧戦略”とも揶揄されていたが、1月26日のテレビ朝日「報道ステーション」の討論会では高市首相も「自民党は移民政策を推進は、しておりません」と発言、管理の厳格化と“秩序ある共生政策”の推進を強調していた。(略)
自由民主党外国人政策本部 令和8年1月20日
近年、訪日外国人旅行者数や在留外国人数の増加に伴い、社会生活のさまざまな場面で課題が顕在化しています。国民の不安や不公平感の高まりに加え、治安や安全保障に対する懸念も指摘されています。これらに正面から向き合い、解消していくことは重要課題です。
外国人政策本部は、こうした課題について党として総合的かつ横断的に議論するため、党則第79条に基づく総裁直轄機関として昨年11月に設置されました。 あわせて、「出入国・在留管理等の適正化・外国人受入れに関するPT」「外国人制度の適正化等に関するPT」「安全保障と土地法制に関するPT」の3つのPTを立ち上げ、精力的に議論を行い、本年1月20日に提言を取りまとめたところです。(略)
政府は23日、外国人の技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の運用方針を閣議決定した。2027年4月から2年間の受け入れ枠(上限)を43万人に設定する。より習熟度が高い特定技能制度と合わせて123万人まで受け入れられるようになる。労働者の人手不足に対応する。(略)
(令和7年末の技能実習45万6千人・Ⅱー1参照)
7.外国人の「特定技能」在留者、6年連続最多の39万人 25年末時点
日本経済新聞 2026年3月27日
(略)企業は人手不足に対応するため外国人労働者の受け入れを進めている。特定技能のうちより習熟度が高い「2号」は7955人となり、前年の832人の9倍超と大きく増えた。(略)
特定技能1号は80万5700人を上限に受け入れる。27年4月から技能実習制度に代わる在留資格「育成就労」と合わせて最大123万人の枠を設ける。特定技能2号は受け入れの上限を設けていない。
⇒まとめ
移民問題・移民の在り方等については大きく議論していく、という事ではなさそうです。自民党の外国人政策本部提言においても移民という言葉はありません。
犯罪対策強化等の「秩序」については望ましいものではありますが、増加抑制・総量規制への姿勢については懸念が生じます。特定技能1号であれば令和7年末約38万人ですからあと42万人の枠が残っています。特定技能2号では受け入れ枠上限は設定ありません。「技術・人文知識・国際業務」も同様に上限はありません。その他「留学」・「家族滞在」・「永住者」などの増加傾向も踏まえて、まだまだ在留外国人、即ち移民が増えるということを示しています。
曖昧戦略の中で負の影響が知らされず、その議論が不十分な中での移民政策推進はどうなのでしょうか。曖昧なままに増加抑制・総量規制を行わないのであれば、秩序以外の負の影響は増大するばかりであり将来における懸念は増えるばかりです。全体における負の影響が増大すれば秩序とて失われていくでしょう。
Ⅷ まとめ
色々とまとめていると見えてきたのは「国民・議論不在の移民政策」というものです。
政府は外国人労働者を受け入れる条件をどんどんと緩和し、また助成金や国家資格不合格者への対応など外国人優遇と指摘されてもおかしくない制度を整備して、国内企業の外国人就労を支援し、在留外国人(家族滞在も含め)は増加し続けています。このことについては移民政策と指摘されています。
そして在留外国人の増加等に伴い問題も多々顕在化してきました。この問題においては外国人犯罪(治安問題)だけというものではなく、日本人の低賃金化、企業・業界の構造改革の遅れ、移民2・3世の課題、文化・宗教摩擦の懸念、地域・国民の財政負担増大など多岐にわたることが見えてきました。
今、日本においては移民問題の議論のないままに移民の受け入れをすすめる政府のやり方に対して、国民が欧米諸国の現状と国内の各種問題・負の影響等に気付き、声を上げ始めているのが現状なのではないでしょうか。実際、欧米諸国の難民問題を含む移民問題の現状を見れば危機感を強く抱かざるをえません。
近年の参議院選挙や総選挙などにおいて、不良外国人への対応は議論があっても移民政策の負の影響はまだまだ国民に周知されていません。アメリカのように国民に真正面から問うべきではないのでしょうか。
今後においては、外国人政策・移民問題に関する議論を負の影響も踏まえて国民周知のうえで広く行うことが必要です。また国民もしっかりと直視しなければなりません。
素晴らしいはずの多文化共生が多文化強制にはならないようにしなければなりません。繰り返しにはなりますが、外国人政策は単純な労働力の確保・企業の売上の確保という短期的な視点だけではなく、日本人労働者の行く末、移民2世・3世への適切な対応、業界等の構造問題、文化・宗教の摩擦回避、財政的負担などの総合的かつ中長期的な視点での議論も求められます。
私自身は様々な先進事例や中長期的な視点で見れば、日本国民にとって移民政策はデメリットが大きいと言わざるを得ません。現行では軋轢を生じさせるもので、それは在留外国人にとっても適切なものではないでしょう。移民政策は見直しする必要があります。ただしその際には少子高齢化社会への誤った政策の是正(少子化対策)や業界等の構造改革、社会保障制度改革など、一時的には痛みを伴うであろう総合的な対応策が必要となるでしょう。
今、日本として真に成長するための社会全体の改革が必要になっている時期と考えます。
(ぼやき)
移民問題は負の影響をスルーし国民をごまかし続けた政府の取り組みの結果であり、国民・議論不在の外国人政策がこの混乱を招いているといえます。私たちは長年続く政府等の曖昧戦略の中で、移民というものを目をそらされてきた、あるいはそらしてきた。そのつけが今、様々な問題として顕在化しているものと思います。
特に不良外国人問題が槍玉に上がっていますが、ある意味ではスケープゴート(身代わり)であり、本来、責められるべきは移民を推進してきた政府・経済界・関連政党と言えるのではないでしょうか。
そういう意味では他人事ではないので、このブログを作成したところですが、曖昧戦略の中、かつ複雑多岐の制度により私自身も全然理解できていなかった事を実感するばかりです。今の政権もこれまでの政策を継続しており、大変に残念な政権であると思うところです。
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