~ 子ども達が夢の螺旋階段を一歩ずつ上り幸せを感じえる、そのような環境構築に全力で取り組みます。 ~
上記方針を行うにあたって、生きる力を育む※こと並びに学力向上を目指し、左図を具体的なビジョンとして政策提言に取り組んでいます。
<ビジョン>
生きる力を養うために必要なのは3要素を満たすこと。
①学ぶための動機付け
②やる気の維持
③より良い教育環境の提供
上記3要素は本来、家庭で充実させるものです。しかしながら、本市ではこれらが満たされていない家庭が多いという特性があります。よって、これら3要素を公(学校等)においても充実させて、生きる力を育み、そして学力向上に取り組みます。
(※生きる力:私は必ずしも成績至上主義ではありません。しかしながら、知識、創造力、忍耐力、コミュニケーション力、問題解決力などを得ること、それらを得る努力を習慣付けることは、社会で生きるために必要です。)
詳細については下記をご参照下さい。
Ⅰ 現状と課題<摂津市の全体学力の低さとその要因>
令和元年度 摂津市学力定着度調査の学習到達度調査結果によると、小学1年生から小学6年生の平均正答率は、小学4年・5年生の算数を除き、全国参加者平均以下です。左図はその内容を示したものです。
また平成31年度の全国学力・学習状況調査の結果においても本市の小学6年生・中学3年生の平均正答率は全国平均より全て低い状況です。なお、隣の吹田市では小学6年生、中学3年生ともに全国平均よりも高く、また茨木市では小学6年生の国語は全国平均より低いものの、算数や中学3年生は全国平均よりも高い状況です。
摂津市の学力課題は、上記のように本市の小中学校の学力が全国平均より低く、周辺市に比べても低い状況であるということです。この事に関して、まずもって私は本市の小中学校の教職員の質が低いとは考えていません。それでは他市との学力の差はどこから生まれるのでしょうか。
私は議員となってからの教育委員会、学校関係者や保護者との意見交換を踏まえ、本市では様々な社会経済事情によって子供の教育に関心を持つ余裕のない家庭が多いという現状があり、それが他市と比較して学力が低い最大の課題と捉えています。例えるなら、のび太君のママが家庭にいないという状況です。勉強しなくても親に叱られることもなく、また将来どうしたいのかを家庭で話すこともありません。
そのような環境では、子供たちは当然ながら将来に向けて勉強する意欲が湧かず、スマホやゲームに走ってしまうのです。勉強しなければ当然学力は伸びません。それがこのような状況を招いていると考えています。
さらに分析しました。
上記表を読み取ると、全国に比して本市の児童・生徒の特徴は以下の通りです。
①学習意欲が少ない子ども達が多いこと。
②日々の家庭学習時間の短いこと。
③読書時間も全国に比して短いこと。(読書は脳の成長を促し、学力に大きく影響する。)
これらは本来、家庭で行うことですが、本市ではそれができない家庭が多いと裏付けられるものです。
良い環境では良い子どもが育つと云われるように、子どもたちは大人以上に環境の虜であり、その環境を改善する努力が大人に求められるのです。その点、子ども達がより良く成長できる環境を、家庭以外でもしっかりと提供する必要を有するのが本市の特徴といえます。
そのため、学校などで3要素を充実させて、さきほどの特徴を克服する取り組みが求められます。それは以下の通りです。
① 学習意欲の向上
② 学校時間外の学習の充実(家庭学習含む)
③ 読書活動の充実
④ 保護者の教育への関心向上
上記①~④を図っていくことが重要となります。それらが結果として学力テスト等に反映(学力向上)することでしょう。特にこの中では①学習意欲の向上が一番大切です。意欲は全てにつながります。その点、私は「学ぶためのやる気スイッチ」として議会で一番多く取り上げています。
Ⅱ 教育施策への提言(概要)
これまでの分析などを踏まえ、3要素の充実によって、学習意欲の向上等を実現する施策についてまとめました。それが下記内容になります。
1 考え方
(1) 施策の焦点は「主体的に学習に取り組む態度」を養うこと。これが備われば、「知識・技能」、「活用力」はあとからついて来る。
・議論すべき焦点は点数ではなく、点数向上につながる学習意欲・態度である。
(2) 重要な指標は、学校以外の学習時間と自己肯定感のポイントである。
・学校以外の学習時間を全国平均に持っていくことが適切。
・学習意欲が湧く自己肯定感(承認欲求を満たす)を高めることが適切
(3) 低学年からの重点的対応(小学1年生で学力の差が生じている)
・小学1年生から学習意欲と日々の学習習慣を養うことが大切である。
・早期に学力格差の芽を摘み、成績下位層の底上げにもつながる。
・就学前教育との一貫性
(4) 成績上位層にも効果がある。
・成績下位層の底上げにより、学級でのさらなる切磋琢磨が可能となる。
・自己肯定感の向上は全ての子ども達の学習意欲を高めることができる。
2 具体的施策
(1) 保護者(地域)との情報共有と協力を得る取組み
・学習意欲向上と家庭学習の時間確保の重要性を保護者に知ってもらい協力を得る。
(2) 小学1年生への適切な対応
・教職員等の増員等の重点配置
・児童一人一人に学習意欲(自己肯定感)を持たせ、学習習慣を養うよう丁寧に対応
(なお丁寧な対応を履き違えて、児童の赤ちゃん返りとならぬ事が大切)
・幼児教育・就学前教育(下記に記載)との連携(小学1年生から既に差が出来ていることの対応)
(3) キャリアパスポートにおける適切な目標管理による学習意欲向上への取組み
・学びたいと思う動機付け(やる気スイッチ)を行う。
・1年生は夢を大きく、段階的に現実に合わせていけばよく、その経過が力となる。
・進路指導ではなく、生き方教育として活用(出口戦略ではなく、入口という認識)
・キャリア教育推進委員会によるキャリア教育の向上
(4)自己肯定感を養う取組み
・学校での自己肯定感の養う取組みを推進し、学習意欲向上につなげる。
(5) 読書習慣を付けさせることへの取組み
・根拠に基づく読書時間及び学校以外の勉強時間の最適な時間の目標設定化
(例:小学生は読書1時間+勉強1時間、中学生は読書1時間未満+勉強2時間以上)
・読書は脳の成長に大きく貢献するため、その重要性の認知を図る。
(6) 学校以外での学習環境の提供
・放課後宿題広場、公民館での空室活用、学童保育、図書館、児童センター、民間(JOCAさん)等との連携
(家で1人黙々と勉強できる子は少ない状況を踏まえ、子ども達の居場所づくりを行う。)
・わくわく広場などの各種施策を統合・退職教師・高齢者との連携(子ども見る指導員等を確保する為、優先施策に集中)
(7) 学校力の強化
・学校長のマネジメント力の強化と教育委員会によるサポート(過度な負担を軽減)
・実践的な校長研修
・教員への適切な研修と自己肯定感向上の取り組み認識の共有など
(8)その他・教育環境の充実に向けて
・義務教育学校(小学校と中学校を統合した9年生の学校)の設立
・教育施設の向上の為の体育館のエアコン設置など
・学校給食の充実・中学校給食の全員喫食など
下記ファイルは2020年9月25日時点でのこれまでの考え方をまとめたものです。ご参考下さい。
Ⅲ 議会での活動
教育施策への提言内容を踏まえ、議会で議論しています。
教育委員会は、2020年10月議会でキャリア教育推進委員会を立ち上げ、学ぶための動機付けに取り組むこと、学力向上につながる読書活動への取り組み、公民館や学童保育での学習場所の提供などの教育環境の充実を検討していくと答弁しました。議論を経て、少しずつですが課題克服に前進しています。
1. 2019年6月議会「児童・生徒の学ぶことへの動機付けとそのモチベーションを支える包括的教育施策について」
児童・生徒の学習意欲の低さ、将来の夢と学ぶことが一致していないことを指摘しています。
2. 2019年9月議会「子どものやる気スイッチ等の心へのアプローチを行う教育施策の重要性について」
学習意欲向上を取り組むよう要望しています。
3. 2019年12月議会「やる気スイッチ等教育施策の実践とリーダーシップについて」
学習意欲向上施策などしっかりと実践できるよう教育施策に盛り込むことを要望しています。
4. 2020年6月議会「アフターコロナでの学校教育の充実について」
コロナ対策と低学年からの学習意欲向上施策を要望しています。
5. 2020年10月議会「学力課題の解決につながる主体的に学習に取り組む態度を育み支える教育施策について」
具体的なキャリア教育施策と、適切な教育環境の具体化に言及し、取り組みを要望しています。
小学1年生から全国の子どもたちとの学力の差がついている。
そのような現状を踏まえ、就学前教育の重要性が議会で取り上げられています。
特に就学前教育については、幼児期の著しい脳の成長を考慮しなければなりません。例えば、親子でのコミュニケーション等での「社会情動的スキル・非認知能力」向上、「読み聞かせ」などの脳の成長を促進する取り組み、適切な睡眠時間の確保、スマホの取り扱い注意※などがあります。
そのうえで、より効果が高い就学前教育の取り組みを提言していきます。具体的には、各園が取り組んでいる就学前教育を促進することと、「読み聞かせ」と「親学習」の2点を強化することが必要です。
詳細は下記のブログに掲載しています。
※スマホの取り扱い注意について
スマホは、「スマホ脳」と云われるように脳が依存しやすい仕組みが取り入れられています。子どもがスマホに夢中になり、本来すべき「読み聞かせ」、「遊び」、「運動」、「睡眠」などの時間が奪われ、また集中力低下による適切な長期記憶を妨げられるなど、成長を阻害する可能性があります。扱いは適切にしなければなりません。
<参考文献> 「本の読み方で学力は決まる」 川島隆太監修 青春新書 2018.9.15、「スマホ脳」 アンデシュ・ハンセン 久山葉子訳 新潮新書 2020.11.20
学校給食は児童・生徒の健康と成長を支えるための重要な事業です。
中学校給食についても、保護者からの全員喫食の要望を踏まえ、教育委員会とやり取りを行いました。
そして、2020年12月議会にて、教育委員会より全員喫食を行うためのセンター方式を検討していくという答弁を得ました。
全員喫食を行うという方向性が定まったのです。
ただ実現に向けては事業計画策定やセンター建設などなどがあり、まだ先となります。早期実現に向けて引き続き取り組んで参ります。そのため、短期的には生徒自身の目線に立って、生徒が食べたいと思うメニューの定期的な導入などを検討すると同議会にて答弁しました。
詳細はブログに記載しています。
●2020年12月議会「健都の健康寿命延伸の取り組みと小・中学校給食との連携について」
学童保育のサービス向上にも力を入れています。
2020年度からは延長保育の実現に大きく貢献しました。
地域の保護者の意見も踏まえ、会派として市に要望を行い、また合わせて2018年度12月議会でも取り上げました。
さらには2019年度6月議会でも取り上げ、学童保育の7時までの延長実施を実現しました。
<市に要望>
●2018年12月議会「学童保育の延長保育等について」
●2019年6月議会「学童保育の民間委託における円滑な事業実施に向けた取り組みについて」
市は学童保育延長のため、3か所の学童保育を委託化して、実現させました。
「摂津市立学童保育室運営業務委託に係る公募型プロポーザルの結果について」
https://www.city.settsu.osaka.jp/soshiki/jisedaiikuseibu/kosodateshienka/gakudouhoiku/11058.html
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